pas de deux - IMGP0851

昨日ほどではないが厳寒。このところ郊外が続いたこともあり、今日は代々木から新宿の周りをぐるっとまわってみる。

今のところかろうじて再開発の波から逃れている新宿御苑周縁地域から、新宿三丁目のにぎわいを微妙に急所をはずしながらすりぬける。新宿の下半身歌舞伎町。不景気のせいか、あわせて150歳くらいの元気のない下半身だ。

路地の看板の上に猫がちょこんと座っていた。興味ないふりをして近づいて、写真を撮ろうとした。あともう一歩と欲をだしたのがよくなかった。猫は警戒してビルとビルの間に逃げ込んでしまった。

ガードをくぐって山手線の外に出る。歩いている道がちょうど風の通り道で、しかも逆風で、寒いことこの上ない。やがて西新宿の高層ビルの足下。こちらはいわば新宿の上半身だ。一番上のところはそろそろとりかえたほうがいいような気がする。なんらかの配給イベントがあったのか、新宿中央公園にはホームレスらしき人たちとなんらかの機材を運ぶNGOらしき人たちの姿。

初台方面に向かおうと思って右折し、夕食の買い物客でにぎわう不動通りの商店街。初台方面にまがるきっかけを失ってずるずると結局一つ先の幡ヶ谷まで歩いてしまった。[代々木駅〜新宿三丁目〜歌舞伎町〜西新宿〜幡ヶ谷駅(7.3km)[地図]]

神保町まででる。はじめて Bagel & Bagel に入ってみた。海老プリフィレカツとクラムチャウダースープでしめて860円。そしてスタバでチャイラテをすすりながら今日もまたゆっくりとペーパーバッグを読みすすめる。

double meaning - IMGP0834

退屈さと猛烈な風の冷たさは保証済み。めげずに向かったのははるか北方、腹部でも胸部でもなく東武動物公園だ。といっても目的は動物園じゃなく、近くを流れる川大落古利根川(おおおとしふるとねがわ)リバーサイドウォーク。

記録はなし、記憶も定かじゃないが、10年以上前、ひょっとすると15年以上前かもしれないが、この川沿いを軽く歩いたことがある。そのころ北村薫の円紫師匠シリーズが好きで、主人公の女子大生が住んでいるのがこのあたりではないかと思い定めて、ストーカーチックに歩いてみたのだ。今思えば、いかにも高校国語教師的な、滅菌された文学観が鼻につくし、主人公もあまりにも理想化されたティーチャーズペット的なキャラクターだが、その頃は、そこに萌えていたのだろう。

そういう文学的感傷はもう今となってはどうでもいいのだが、せっかく歩いたのに、その記録がどこにも残っていないのはさみしい。再現しよう。という思いが、あまり気が進まない地域だけにかえって義務感としてめばえてきたのだった。それで、日曜日に続いて、東武伊勢崎線に乗り込んだというわけだ。

上で、記憶も定かじゃないと書いたが、歩き終えたのは春日部なのは間違いない。歩き始めたのは最初東武動物公園かと思ったが、記憶の断片をつなぎあわせると、たぶん一つ手前の姫宮だったんじゃないかと思う。でも乗り込んだのが急行電車で姫宮を通過してしまったこともあり、再現といってもまったく同一のコースを歩く必要はなく、その精神をいかせばいい。というわけで、すっかり前置きが長くなってしまったが、最初書いた通り東武動物公園から歩き始めたわけだ。

駅前からまっすぐ歩くとすぐ大落古利根川にぶつかった。かなり川幅があり、両岸に土手が広がる一級河川だ。こぢんまりして手をのばせば水に触れられる小川の印象がぼんやり残っているが、それはやはり、姫宮駅前を流れる大落古利根川の支流の記憶なのだろう。このあたりは大小の河川が都心の地下鉄みたいに入り組んで流れている。

最初橋を渡らずに「こちら側」を歩いたが、寒風にあおられながらほとんど日陰の中。向こう岸には遮るものなく燦々と日射しが降り注いでいる。岸辺にボートが舫われている。なんだか「こちら側」を歩いているのがばかみたいだった。やはり太陽のあたる側を歩かなくては。次の橋で向こう岸に渡った。

寒風は同じだが、太陽の下歩いていると身体が温まってくる。風景も光と影のタペストリーを繰り広げていて、思ったより退屈じゃなかった。久しぶりに手応えのある写真が何枚か撮れた。

やがて、太陽が進行方向のちょっと右側に沈むと共に、向こう岸に見覚えのある看板を掲げたビルディングがみえてきて橋と橋の間隔が短くなった。春日部の街だ。だが、もう少しだけ川縁を歩くことにする。

夕暮れと共に川を渡る風は厳しさをまし、ぼくもいよいよ川縁を離れ、クロージングタイムに入る。名前は覚えてないが確かその先に東武野田線の駅があるはずだった。

目論見通りたどり着いた。駅名はふじの藤の牛島というちょっと不思議な名前だった。[東武動物公園駅〜大落古利根川〜藤の牛島駅(9.6km)[地図]]

春日部までは一駅。春日部で、やってきた電車は日光線から直通の区間快速で、車輪のところに雪が付着して、車内の床も濡れていた。こちらはこんなに悲しいくらい晴れているのに、日光方面は楽しく雪らしい。快速は、運賃以外の料金不要の電車としては最速。春日部の次はもう北千住だ。そして、その次は終点浅草。銀座線に乗り換えて、日本橋。そしていつもの八重洲地下街へ。

アルプスで麻婆カレー450円。有楽町まで歩いてスタバでキャラメルマキアートをすすりながら、ペーパーバックを読み進める。

首都圏を走る幾多の鉄道路線の中で、東武伊勢崎線がちょっと盲点というか盲線になっていたことに気がついて、はるばる春日部までいってみた。といっても春日部にいくのははじめてじゃない。はるか昔、このブログを始まる前だから、先史時代といっていいと思うが、近くの古利根川沿いを歩いたことがある(これはこれでそのうち再現してみたい)。

春日部は、東武伊勢崎線と野田線が交差するターミナルであり、地域の中心駅だ。西口駅前はそれなりの風格がある。駅前のロータリーからまっすぐのびている大通り。中央にグリーンベルトがあり、両端の歩道の幅もたっぷりとってある。まさにメインストリートたるべくつくられたような通りだ。とりあえずいけるところまでいくことにした。

どこまでも続くようにみえたその道も大沼公園という公園にぶつかってあっけなく途切れる。人の姿をあまりみかけない、ちょっとさびれた公園だった。グラウンドで草野球をしている人たちだけが気勢をあげていた。

公園をでたあとは、いったん離れた東武線に近づくような道を選んでゆく。同じ埼玉県でも、大宮や和光市など東京との関わりがもっと密接な街とはちがって、首都圏というより北関東という感じがする。象徴的なのはジャージ姿の中学生を多く目にすることだ。東京都心や神奈川でも見かけないことはないけど、これほど圧倒的じゃない。北関東ジャージ地帯とか地理の教科書に載っていそうな気がする。

春日部の二駅隣の武里駅のそばには巨大な武里団地。航空写真で見ると、一帯すべてに団地の長方形の建物が配置されて、細胞の顕微鏡写真をみているようだったけど、歩いても歩いても尽きることなく、団地の棟が並んでいるのは圧巻だった。たとえば1-34棟と5-18棟のほとんど区別のつかない同じ間取りの部屋であっても、そこではまったく別の人生が営まれているというあたりまえのことが、とても不思議なことのように思えた。

団地を抜けると隣のせんげん台の駅前。なぜか駅名はひらがな混じりだが、町名はちゃんと漢字で千間台だ。[春日部駅〜大沼公園〜武里団地〜せんげん台駅(6.9km)[地図]]

上野に出た。駅前の駅前グリルは、メニューがちょっと変わって、単価が高くなっていた。それでも、ねぎカルビ定食750円。十分納得の値段だ。御徒町に移動してスタバでカプチーノ。隣の席では、コリアンの男女と、ほかの東アジア系の女子が片言の日本語でやりとりしている。片言といってもコリアン女子の日本語はほぼ完璧だったが。共通言語としての日本語。なんかおもしろい。

かくしてテン年代最初の一ヶ月がおわってゆく。

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急行電車をどんぴしゃのタイミングで乗り継いで中央林間にたどりついた。駅前のカジュアルなにぎわいを通り過ぎると広大な工場の敷地の縁。IBMとレノボの名前が併記されていた。

目指す遊歩道の入口にたどりつく。8ヶ月前に入り込んで途中で離脱してしまった遊歩道。今日は、最初から最後まであるいは最後から最初まで歩き通すつもりだ。

とはいえ、遊歩道の風景は退屈だ。どこまでもどこまでも両側にはただ平板な住宅が並んでいて、ただ時折垣間見える電柱の住居表示だけが変化していく。やがてそれは東林間に変わった。歩き始めた中央林間は神奈川県大和市だが、東林間は相模原市。遊歩道は、これから延々と相模原市を通り抜けてゆく。

見たことのある風景。ちょうどこの前離脱した相模大野駅付近だ。これはぼくの特殊能力と言っていいと思うが、一度歩いた道は忘れない。といっても細部まで記憶していているわけじゃなく、漠然とした印象を圧縮して保持している。それで役立つことは、迷子にならないことくらいで、むしろ退屈になるというデメリットの方が大きい。そんなわけで、これからしばらくは既視感という退屈な道連れといっしょに、前回とは逆の視点と順序で歩いていく。

いきなり風景のサイズが変わる。両側の住宅が退いて、林地にはさみこまれた。細くてひょろひょろとねじまがった樹たち。今は葉を落として、修行中の僧侶たちみたいに禁欲的だ。そこがこのコースのクライマックス。樹たちの聖歌が耳に聞こえてきそうだった。

その木立をぬけた先が未知の領域。といっても、一応名目上は遊歩道が続いていることになっているが、相模原ゴルフクラブに接した道路の歩道の部分に木が植えられているだけだ。その中には梅の木が混ざっていて、早くもいくつかは花が開いていた。白梅、紅梅。春はもう手が届くところまできている。

途中の標識がそろって淵野辺公園まであと何kmと表示していた。たぶん、そこがこの遊歩道の終着点なんだろう。一番最初にみたときは4kmになっていて、はるか遠くという感じだったが、いつの間にか1.3kmになり、そして500m。秒読みが始まる。夕闇が濃くなってきた頃、公園の中に入り込んだ。

テニスコートはいうに及ばず、レクリエーション施設や野球場もある大きな公園だった。樹がライトアップされていた。なんと、公園を通り抜けた先にまだ遊歩道が続いていた。名残を惜しむように歩を進めるが、大きな道路にぶつかったところで、ほんとうのほんとうに終わりを迎えた。

満月が東の空に出ていた。ビルの上くらいの高さなのでやたら大きく見える。薄雲に包まれてあやしいセピアカラーに輝いている。月じゃなくほかの天体が浮かんでるみたいだった。こんな光に照らされたら誰でも体中に銀色の毛がはえて、牙がつきだして、狼男になっちゃうような気がした。考えてみると、狼男は英語で "werewolf"、仮定法過去のbe動詞 "were" が含まれている。狼男とは、ありえたかもしれないほかの現実の可能性を夢みる仮定法の亡霊のことなのかもしれない。

にぎやかな大通り沿いに、JR横浜線の淵野辺駅まで。[中央林間駅〜遊歩道〜淵野辺公園〜淵野辺駅(12.5km)[地図]]

町田に出た。食べるものを求めて歩き回るが、なかなか見つからない。店はたくさんあるんだけど、微妙にひとりで入りにくかったり、食べたいものとちがったりするのだ。結局、前回町田にきたときと同様フレッシュネスバーガーに入った。クラシックチーズバーガーとキャラメルマキアート、しめて950円。なぜかドリンクがぬるいのも前回と同じ。

町田は去年1回しか来てないのに、今年はまだ1月なのに2回もきている。ひょっとすると今年は町田が個人的にブレイクするかもしれない。行動半径を少しずつ広げるようと、はじめて小田急線の北側の西友にはいってみた。レコファンとかリブロが入っている。それなりに使えそうだ。あとは、やはり食事する場所をうまく見つけなければ。