Faraway, So Close!

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ベルリン天使の詩」の続編。後味が悪いという先入観を与えられていたのだが、決してそんなことはない。めでたしめでたしという、いわゆるハッピーエンドではないが、ちゃんと前向きのカタルシスを与えてくれる映画だった。

「ベルリン天使の詩」から数年後、壁のなくなったベルリンが舞台だ。今回は、前作で取り残された天使カシエルの物語。彼もまたひょんなことから地に墜ちて人間になってしまう。天使の時は謹厳な表情を崩さなかった彼が、人間になったとたんおどけまくる落差が面白い。だが、先輩のダミエルと異なり、彼はなかなか人間の世界に溶け込むことができない。特にとまどったのが「時間」だ。「時間」は天使だったときとは異なり、恐ろしいほどの速度ですぎてゆく。

そして、その「時間」をまさにそのまま体現している人物が登場する。ウィレム・デフォー演じるEmit Flestiだ(逆順で読むと Time Itself「時そのもの」)。彼もまた天使たちと同じような不思議な力を持つが、その行動は謎に包まれている。懐中時計のような精巧な機械をとりだして動きを眺めていたり、カシエルに時に関する謎めいた言葉を投げかける。彼はいわばこの物語の進行役であり、結果的にいくつかの不幸をもたらす。だが、それは悪によるものではなく、彼なりの使命のためなのだ。

こういういかにもな背景がありながらも、この物語は予定調和の悲劇のようには進行しない。むしろ、ドタバタ喜劇の流れで進んでいく。最後、カシエルは子供を助けるために命を落とす。だが、そこに物語としての必然性があるわけではない。彼の英雄的な行為で確かに事態は好転したが、彼を銃で撃つギャングたちは単なるマヌケに過ぎず、状況的に必須というわけでもなかったのだ。そこに必然性があるとすれば、それを知っているのはEmit Flestiだけだ(もちろん想像することはできる)。だから、その死は悲しむべきものとしては描かれていない。あるのは別れの悲しみ。だが、それもまた船出という新たな予感の中に描かれる。

何よりナスターシャ・キンスキーの演じた天使ラファエラが美しかった。

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