コンビニでジュースを買うような感じで、発売日(1月30日)にWindows Vistaを買ってしまった。
XPはエディションがProfessionalとHomeしかなくて、ProfessionalはHomeの機能を包含していたので、迷うことなく買うエディションを選べたが、Vistaでは店頭売りされているものだけでHome Basic, Home Premium, Business, Ultimateという4つのエディションがある。さらに製品版かアップグレード版かという選択もある。ふつうに考えるとXPのライセンスをもっているので、アップグレード版でいいはずだが、Vistaではアップグレード対象のOS(XP or 2000)が稼動しているPCでのみアップグレードインストーラーを起動できるという制限がある。今回は問題ないが、ゆくゆくHDDを換装して新規にインストールするときは、まず2000かXPをインストールするという余計な手間が増えてしまう。
Home BasicにはVistaの売りのひとつのAeroというユーザインタフェースが搭載されてないし、ごてごてと使わなそうな機能が詰め込まれたUltimateは趣味じゃないので、Home PremiumとBusinessが選択肢に残るが、この2つは単純な包含関係になっていない。つまり、Home Premiumだけに搭載された機能とBusinessだけに搭載された機能がそれぞれあるわけだ。Businessの方はバックアップとか暗号化ディスクなどセキュリティーや堅牢性を高めるための機能が搭載されていて、Home PremiumはMedia Center、DVDメーカーなどの機能。どちらもあまり必要性を感じなかったが、結局、価格の安さでHome Premium、そして再インストール時の面倒さは甘受することにしてアップグレード版を選択した。
早速インストール。XP ProfessionalからVista Home Premiumへは、アップグレードインストールすることができない。つまりOSの設定やインストールされているアプリケーションの情報は初期化されてしまう。既存のファイルは(起動ドライブ):\Windows.oldに保存される。インストールは正味1時間程度で問題なく完了した。
使ってみて、予想以上にXPと違っているので驚いた。いまさらながら2000からXPはマイナーチェンジだったということを確認させられた。
XP単体では市販やレンタルのDVDを再生できなかったが、Vistaではさすがにサポートされたようだ。ただし、ドライブもディスクももっていないので関係ないが、次世代DVDといわれるHD DVDやBlue Rayはサポートされないという話もある。
ルック&フィールには洗練されているという淡い印象をもっただけで、特に違和感も感動も感じなかった。サイドバー上に配置できるガジェットはまだまだ種類が少ないものの便利だ。Mac OS Xのダッシュボード+ウィジェットの完全な模倣だけど、他のアプリと同時に使えるのがいい。
ReadyBoostといって、高速タイプのUSBメモリーやSDカードをHDDのキャッシュとして使う機能が提供された。Vistaに販促用の512MBのUSBメモリーがついてきたので、試してみたが、挿したときと抜いたときの差をほとんど体感できなかった。まあ、当たり前の話で、現在メインメモリーが2GBあり、普段でもHDDはそちらにキャッシュされているのだ。メインメモリーに余裕がない状況で役に立つ技術だ。
フォルダー構成がかなり異なっている。従来の"Documents and Settings"は"Users"になり、その中で全ユーザ共通のデータを保持していた"Documents and Settings\All Users"は(起動ドライブ):\ProgramDataにくくりだされた。フォルダー名からスペースがなくなったのはいいことだ。クオーテーションで囲むか囲まないかで悩む必要がなくなる。互換性のためアプリケーションからは旧来のパスでも参照できるようにリンクがはられている。ただし、"Program Files"はそのままだ。
さて、影響が一番大きいのはUser Account Control (UAC)という機能だ。従来、管理者権限をもったユーザならばほとんどのリソースに無条件でアクセスできたのを、通常時は一般ユーザ権限で操作を行い、操作ごとに必要に応じてダイアログを表示して、管理者権限に切り替えるかどうかを選択させるしくみだ。具体的には、"Windows"や"Program Files"フォルダー以下のファイル操作や、レジストリのHKEYLOCALMACHINEハイブのデータ操作が制限される。ちゃんとUACに対応しているアプリならば確認のダイアログがでてきてうざいだけだけど、未対応のアプリだと正常に動作しない可能性がある。一応、未対応のアプリがこれらの領域のデータを編集しようとした場合、ユーザ固有の領域にリダイレクトする機能がついているのだけど、これがまた別の問題を引き起こす可能性がある。
設定でUACを切ることもできるが、そこまでしなくても、基本的には、アプリを実行するときにマウス右クリックで開くメニューから「管理者として実行...」を選んで実行すれば、従来通りのフリーアクセスが可能になる。問題が発生したアプリとその対応方法を以下にまとめておく(ついでにUAC以外の問題に起因するものも挙げておく)。
- エディタxyzzyを"C:\Program Files\xyzzy"に配置していたのだが、xyzzy終了時に"C:\Program Files\xyzzy\usr\wxp.xyzzy.history"が既に存在しているというようなことをいわれて、開いたファイルの履歴などが保存されなくなる→当初「"C:\Program Files\xyzzy\usr\wxp.xyzzy.history"を削除」することで対応したが、むしろVista対応アプリとしては、フォルダ「%APPDATA%\xyzzy」を作成して、xyzzyの起動引数に「-config "%APPDATA%\xyzzy"」とつけるか 環境変数XYZZYCONFIGPATHを指定する方が正しいような気がする。
- PostgreSQLのインストーラが正しくユーザやDBを作成できない→インストーラーがmsiファイルなので、直接「管理者権限で実行する」の方法がつかえないが、代わりにコマンドプロンプトを管理者権限で実行し、そこからmsiファイルを実行
- アーカイブソフト+Lhacaで拡張子の登録ができない→拡張子を登録するときに限って「管理者として実行...」すればOK。だが、結局これを機会にLhaplusに移行することにした。
- DDwinでハードディスク上の辞書の検索ができなくなった→ UACとは別の問題かもしれないが、結局こちらもEBWinというソフトに乗り換えた。外字をUnicodeの領域にマッピングしてくれるので、ラテン文字もコピー&ペーストすることができる。
- JavaアプリをWindowsのサービスとして実行するためのソフトJava ServiceはVista, J2SDK6という組み合わせだとサービスが起動しない→Java Service Wrapperに移行
という感じで、これ以外にも動作がおかしくなるソフトがたくさんありそうだ。
もうひとつ、Vistaでは従来のスタンドバイモード(電力供給を最小限にしながら電源は切らないモード)と休止モード(メモリーの状態をHDDに退避して電源を落とし、復帰時には退避したメモリーを復元する)をあわせたようなスリープモードというのが提供されている。基本的にはスタンドバイモードだが、あわせてメモリーの退避も行うので途中で電源が落ちても安心というモードだ。Microsoftはかなり自信があるのかシャットダウンに代わって標準の終了モードになっている。ぼくのPC Shuttle X100は一応Vista対応がうたわれているのだが、なぜかスリープから正常に復帰してくれない。ファンやディスクは動き始めるのだが、画面はくらいままだし、USBのデバイスも通電しなかった。紆余曲折の末、A Windows Vista-based computer that uses a Mobile Intel 945GM Express Chipset may occasionally not wake from sleepというページにたどりついた。intelのドライバなら平気だと書いてある。そこで、 INF アップデート・ユーティリティーをダウンロードしてインストールしたところ、無事スリープから復帰できるようになった。
問題を解決するためにネットでいろいろ検索してみた印象だが、Vistaの盛り上がりはいまいちのようだ。もはやアプリケーションプラットフォームとしてのOSの時代は終わり、通信のための基盤さえあればよくて、そういう意味でスペイン語のお別れの言葉"Hasta la Vista"がふさわしいOSなのかもしれない。

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