SAQ: 1999年アーカイブ

Q

パンケーキとホットケーキの違いは何ですか。広辞苑とかで調べてみたのですが、どうも納得がいきません。特に手作りの場合、それはつくった人の意思、つまり「パンケーキつくろ」と思ってつくったか否かによりますよね。しかもそう思ってつくったのに「このホットケーキうまいじゃん」と言われた日には、どうしたらいいのでしょう。別々の名前である必要はあるんでしょうか??(Poさんからの質問)

A

確かに、広辞苑の説明はわけわからないですね。ホットケーキの方はまだいいです。「小麦粉・牛乳・砂糖・バター・卵・ベーキング‐パウダー・塩などをまぜ合せ、鉄板またはフライパンで円形に焼いた菓子。バター・メープル‐シロップ・蜂蜜などをかけて食する。」と丁寧に説明しています。

ところが、パンケーキのほうは「小麦粉・卵・牛乳などを混ぜ合せ、フライパンで円形に焼いた菓子。ホット‐ケーキ。クレープ。」とホットケーキとほぼ同じもののことを説明していることは明らかですが、材料を省くなど、手をぬいた説明になっています。しかも、最後の「ホットケーキ」は許せるとしても、「クレープ」といわれても、「えっ?」と思ってしまいますよね。

ここから先は想像ですが、おそらく広辞苑には、頭の「あ」から順番に説明を書いていく人と、後ろの「ん」から逆順に書いていく人がいるんだと思います。パンケーキもホットケーキも当然逆順の人の担当です。ホットケーキについて書いているときは、まだ余裕があったので、詳しく説明していたのですが、パンケーキにたどりつくころには疲れ果てていたのでしょう。なにせ間には「平家物語」とか「ヒマラヤ山脈」という疲れそうな言葉がありますから。

さて、英和辞典を調べたところ、hot cakeの説明として厚いpancakeとありました。どうやら、pancakeというのは小麦粉を主原料とするフライパンで円形に焼いた菓子全般を指す言葉のようです。その中で厚手のものがhot cake、薄手のものがcrapeということになるのでしょう。ちなみにpanは食パンのパンではなくフライパンのパンのようですね。

別々の名前である必要ですが、たとえば「このホットケーキまずい」といわれた場合に「だってパンケーキだもん」といういいわけができます。

カピバラ

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Q

「カピパラ」って、知らないといけない一般常識ですか?(Poさんからの質問)

A

カピバラ想像図久々にSAQにふさわしい質問なので、こちらで答えることにします。

試しに、ぼくのまわりの人間数名に訊いてみました。みんな、動物だということは知っているようなのですが、どんな種類でどういう習性なのかということまではわかっていないようでした。右に、各人からあげてもらった特徴をもとに書いたカピバラの想像図を示します。

一般常識かどうかということですが、それを判断するには、それぞれの人の「カピバラって知ってる?」という質問に対する反応を見るのが手っ取り早いと思います。

人は、「イヌって知ってる?」というような、あまりに常識的なことを訊かれると、「イヌ」を犬でない別の何かと解釈して、「イヌって?」と訊き返します。逆に「スヴェルドロフスクって知ってる」というような耳慣れない言葉を聞いても、聞き間違いかと思い、同じように「スヴェルドロフスクって?」と訊き返します。

カピバラについて尋ねたとき、返された言葉は「なんでそんなこと訊くの?」でした。これは、常識でもまったく未知でもない中間のものに対する反応です。ただし、その言葉の奥には「知らないわけじゃないけど、わざわざ話すほどのことではない」というカピバラに対する軽視が感じられます。

まとめると、カピバラは一般常識となる手前の状態であるが、知っていたところで何のステータスにもならないので、知らないといけないということはありません。でも、ひょっとすると、来年あたりの慶応幼稚舎の入園試験にでる可能性がないとはいえません。

ざっくばらん

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Q

ざっくばらんという言葉には、外来語のような語感がありますが、語源は何でしょう?

A

講談社の語源辞典を立ち読みしたところ、江戸期の川柳にあるほどの古い言葉であり、心の殻をざっくり割って、ばらりとさらすというところから、ざっくりばらりという言葉が生まれ、それが転じたのではないかということです。

このほか、Poさんに教えていただいた森本哲郎著『日本語表と裏』(新潮文庫)という本を読んでいたら、ざっくばらんの語源がもう一つ見つかりました。田井信之著『日本語の語源』からの孫引きになりますが、以下に示します。

四角四面のかたくるしい態度をとることを「四角張る」という。これを打ち消したシカクバラヌ(四角張らぬ)は、シカ[s(ik)a]の縮約でサクバランになり、促音が添加されてザックバランに変化した。

安永年間(1772-1781)の比較的古い文献では、ざっくりばらりという形が用いられていることは明らかなので、信憑性としては第一の回答の方が高いと思いますが、これはこれで面白いです。

これだけでは面白くないので、ぼくやぼくの周辺の人たちの説をいくつか紹介しましょう。

  1. 「雑句場乱」。いいかげんなことをいって場が乱れるということでしょうか。意味が全然違うような気が…
  2. 「バグダッドカフェ」にも出ていた白髪の渋い名優ジャック・パランスがとてもあけすけ人なのでジャック・パランス→ザック・パラン→さっくばらんとなった。

ニカウさんのスペル

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Q

映画『ブッシュマン』の主人公を演じたニカウさんの名前のスペルは?ファンレターを書くわけではないので、住所は必要ありません。(S.Mさんからの質問)

A

SAQ始まって以来の難問でした。

まず、インターネットで"bushman"を検索したのですが何も見つかりませんでした

次に「インターネットで見つからないものは町でみつけよ」という鉄則にしたがい、まずは、ビデオソフトを扱う大型店へ。ところが、『ブッシュマン』は影も形もありませんでした。中古ビデオソフト店も同様で、本当にそんな映画が存在したのか疑わせるほどの痕跡のなさでした。

次は本屋です。ニカウさんといえばムツゴロウこと畑正憲というすりこみがぼくの頭にあったので、まっすぐ文庫本のコーナーへ向かい、何かに導かれるように一冊の本を取り出し、目次を開きました。するとそこには「ニカウとの再会」という文字が…

しかし、考えてみればあたりまえのことですが、出てくるのはカタカナの「ニカウ」だけで、スペルなど載っているはずもありません。かろうじてわかったのは、ニカウさんがその本が書かれた当時小学校の用務員に転職したばかりだったということと、日本のホテルで眠れなくて、精神安定剤を服用したということです。

ニカウさんを探して東京の町をさ迷い歩くというシュールかつナンセンスなことをしてしまったわけですが、有用な情報は何も得ることができませんでした。

その後、結局、インターネットで答えを見つけることができました。なかなか見つからなかったのは映画の原題をまちがえていたためです。"Bushman"だとばかり思い込んでいたのですが、"The Gods Must Be Crazy"でした。

さて、肝心の答えは"N!xau"です。

Q

冷たい日本蕎麦をつゆにつけて食べる料理に「もりそば」、「ざるそば」、「せいろ」と3種類名前がつけられていますが、何がちがうのでしょう?

A

現在、この3種類の呼び分けは、各店ごとの個性があって一概にはいえないと思いますが、もともとは蕎麦をいれる容器の違いだったようです。もりそば、正式名称「皿もりそば」は皿、ざるそばはざる、せいろは饅頭などを蒸すときに使う蒸篭(せいろ)と呼ばれる正方形の容器にそれぞれ入っていたものだそうです。(参考:杉浦日向子とソ連編著『 ソバ屋で憩う-悦楽の名店ガイド101』)。

ポイントカードの選択

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Q

ヨドバシカメラで買い物をすると「ポイントをおためしますか、お使いになりますか」という選択を求められますが、わざわざ訊かれるということは、その回答によって、かたやヨドバシ長者とよばれる大富豪、かたやスカンピンというような差がついてしまうのでしょうか?

A

ポイントの比率を10%とします。1000円のものを買ったとして、現金で支払えば100ポイントたまりますが、過去のポイントで支払った場合、得られるポイントは0になってしまいます。そう考えればポイントはためた方がいいということになってしまいますが、実はポイントをためた場合に使わなかった1000ポイントもいつか使う機会が訪れるわけです。そして、その場合にはやはり、得られるポイントはすべて現金で支払った場合より、100ポイント減ってしまうわけです。

したがってポイントが一定である場合には、長い目でみればどちらも変わらない、というのが結論ですが、実際には商品の種類や時期(ポイントアップセール)によってポイントは上下します。ポイントが通常より大きいときは「タメ」、書籍、酒類等少ない場合には「使う」のが基本です。

不快指数

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Q

不快指数の求め方を教えてください。

A

温度(℃)をt、湿度をhとすると以下の式で計算されます。

t*0.81+0.01*h*(0.99*t-14.3)+46.3

以下のフォームで計算してください。見てのとおり風の影響や、太っている人がそばにいるかどうかという因子が入ってないので、どこまで人の感覚と一致しているかは疑問ですね。

全種類集める

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Q

TEOという紅茶に広末涼子の12種類のバッジがおまけでついていましたが、全種類集めるまでに、平均して何本のTEOを買わなければならないのでしょう?

A

1本買って1種類目が手に入る確率は1、2種類目は11/12...最後の12種類目は1/12とだんだん減っていきます。一般に確率pの事象を独立に試行して発生するまでの期待回数は1/pですから、求める期待値は12/12 + 12/11 + … + 12/1 = 37.24... となります。目的のバッジの数の約3.1倍のTEOを買わなくてはいけません。

さて、12種類のときは本数の期待値はその3.1倍となりましたが(この比を広末係数と名付けます)、種類の数が増えるに従って広末係数はどのように変化していくでしょうか。一般に、種類の数が n のとき、全部揃うまでの期待本数は以下の式で表せます。

\displaystyle n \sum_{i=1}^{n}\frac{1}{i}

したがって広末係数は

\displaystyle H(n) = \sum_{i=1}^{n}\frac{1}{i}

になります。これは調和級数と呼ばれていて、 n が大きければほぼ \gamma + \log n(γはオイラー定数で0.5772...、logは自然対数)に等しくなります。対数関数なので、なだらかですがnとともに無限に大きくなっていきます。たとえば n が10000のときは約 9.8 になり平均して10万本近く買わなくてはいけないことになります。

Q

にんにくと唐辛子をオリーブオイルでまぶしたシンプルなパスタのことを、店によってぺペロンチーノと呼んでいるところとペペロンチーニと呼んでいるところ両方あります。どちらかが正しくてどちらかが間違っているのか、それとも何か材料・味に違いがあるのでしょうか。

A

"aglio, olio e peperoncino"というのがイタリア語におけるこの料理の正式な名前のようです。aglioはにんにく、olioは油、peperoncinoは唐辛子なので「にんにく、油そして唐辛子」という意味です。ちなみにpeperoncinoの複数形がpeperonciniです。

結論をいうと、ぺペロンチーノよりペペロンチーニの方が唐辛子の量が多くてなんとなくからそうだということでしょうか((としゃれで書きましたが、実際は唐辛子ひとつひとつを数えられるものとみなす場合は複数形(可算名詞)で、集合的に扱って数えられないものとみなす場合は単数形(非可算名詞)になるということだと思います。水などの液体はたいてい非可算、コップでも何でもひとつひとつのものがはっきり分離しているものは可算になりますが、唐辛子などどっちつかずのものは両方の形が使われます))。でも、ペペロンチーノまたはペペロンチーニとだけいうといずれにせよ唐辛子を山盛りで出されても文句はいえませんね。

SAQの発音

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Q

SAQの発音の方法を教えてください

A

音声ファイル(MP3形式)をお聞きください。

SAQ

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Q

SAQとは何ですか?

A

Seldom Asked Questions (めったに訊かれない質問)の略です。頻度としては1人の人間が10年に1度質問されるかどうかという程度を想定しています。それ以下だとNAQ(Never Asked Questions)と呼ばれ、不良顧客処理の部署にまわされがちです。

この他、スポーツ医学の世界では、"Speed, Agility, and Quickness"の略で、運動の基礎能力を高めるためのトレーニングを指します。日本SAQ協会というものまで存在します。

また、"Société des alcools du Québec"というカナダの酒類販売会社が、saq.comを取得しているようです。