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いろいろな紅茶の味や香りを楽しむように、東京の町にも、その町ごとの味や香りがあって、その日の気分によって楽しめる。今日の気分は臨海部だった。臨海部を紅茶の味にたとえると、深みがなく、特にフレーバーも入っていないが、何ともいえないさわやかさがある感じだ。

新木場の駅前の駐車場に「空あり」と大きな赤い字で看板が掲げられていた。ぼくはこの言葉を見ると「そらあり」と読んで反射的に空を見上げてしまう。今日の空はどんよりと厚い雲に覆われていた。一点の晴れ間もない完全な灰色だ。

公園の中を辰巳方面に歩く。中華街の肉まんくらいの大きなあじさいがいくつも咲いている。もとは濃い紫だったものを何度も何度も丁寧に脱色したような限りなく淡い色だ。そういえば、昨日会社のエレベータで、二人連れの男の片方が「あじさいって見たことありますか?この前はじめて見にいったんですよ」と言っていた。今までどこに住んでいたのだろう。日本でないのは確かだ。

潮見、豊洲となおも臨海部を歩いているうちに何だか気分が高揚してきた。いわゆるウォーキングハイというやつだ。実は、ぼくが足しげく歩いているのも、ウォーキングハイを味わいたいからというのが理由の一つだったりする。その日の気候や体調に大きく左右されるので、月一回味わえればいい方なのだが、先週に続いて二回連続だ。鬱陶しい梅雨と夏を控えて、東京の町からぼくへの最後のプレゼントといったところだろうか。

月島、勝鬨橋を経由して、有楽町まで歩いた。9.4km。

そのまままっすぐ蒲田にもどってきて、雑誌を二冊買った。一つは“DOS/V magazine”。特に読みたい記事があったわけではなく、MSOffice 2000のService Release 1を入手するためだ。しかし、中の説明を読むともうすぐService Release 1aが出ると書いてあった。それまで待つべきだったかもしれない。

もう一冊は『BT美術手帖6月号』。特集は「[決定版]現代色彩事典」だ。巻頭に「鉱物顔料の世界」という記事があって、自分で鉱物から色素を抽出して顔料を作っているアーティストの話が書いてある。その中で紹介されている石の一つに「スギライト」というのがあった。1977年に杉健一という人が発見したのでこういう名前がついたそうだ。色は鮮やかな紫。chez sugiのテーマカラーにしようか。

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