ザ・ラスト・メンテナー

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日差しはきついものの、湿度がぐんと下がっている。昨日よりは格段にさわやかな日だ。そういう日にはもちろん散歩をしなければ。

まずは食事だ。なんだか、東京駅の地下のカレー屋のカレーが食べたくなった。あの店のじゃなければだめなのだ。本格的なインド料理屋でもなんでもなく、食券を買うタイプのチープな店だが、カレーとライスはなかなかだと思う。具(カツカレーならカツ、ビーフカレーならビーフ)はいまいちだが、値段が安いので、そこはいつも寛容に許している。今日はカツカレーにナスのトッピングをつけた。それで500円、安い。

食事のあと、中央線で荻窪へ。そこから散歩開始だ。郊外の方から散歩をはじめると、'''帰巣本能'''のせいか、つい都心方面に足が向いてしまうが、今日は吉祥寺を目指すことにした。

中央線の南側を歩いて西荻窪に到着、左折して駅前商店街を歩く。日曜日のせいか、かなりの数の店がシャッターをおろしていた。何かさみしい。ぼくが歩いている時間だけは、店を開けておいてほしいと勝手なことを考える。五日市街道で右折、さらに杉並区と武蔵野市の境界の道を左折した。

右側に老人ホームがあって、ちょっと太った職員の人が窓ガラスを拭いていた。その静かで落ち着いた働きぶりを見ていたら、もう必要とされなくなってしまったものを修理・補修する職業を連想した。名づけてラストメンテナー。もう、他にそのものをメンテナンスできる人は誰もいないのだ。誰かに頼まれているわけではないので、急ぐ必要はない。丹念に細かいところまで心をこめてメンテナンスをする。作業から生まれる充実感と、長い年月の末に手に入れた静かな諦めで心の中はいっぱいなので、空虚なんていうものの入り込む余地はない。なかなか、いい職業だ。その先の交差点に、ばらばらになった'''携帯電話'''がころがっていた。ひょっとして、いつか携帯電話がすたれる時代がきたら、そのときは携帯電話のラストメンテナーになろうか。

目の前にスペインかどこかの田舎町の教会のような建物が見えた。立教女学院だ。なかなか雰囲気があっていい。そこの生徒が、という話ではなく、建物の話だ。今日は日曜日なので、生徒らしき人は一人も見かけなかった。

三鷹台の駅から井の頭線の線路沿いを歩いて、井の頭公園にたどりついた。久しぶりだ。しかし、いつ来てもにぎわっている公園だ。誰もが自分の時間を過ごすためにここにやってきている感じがする。思い思いに休息する人々の顔を横目に公園を通り抜けた。

今日の散歩の本編は吉祥寺駅まで。7.5kmだった。そのあとは延長戦に突入だ。街の愛好家を標榜しているぼくだが、今まで吉祥寺はほとんど知らなかった。知っているのは、せいぜい、南口から井の頭公園までの道筋くらいだ。これではいけないと思ったので、今日北口の商店街を歩き回ってみた。いやあ、どの通りもにぎわっていて楽しい。大阪のミナミの商店街を思い出した。また今度、散歩ときりはなしてゆっくり来てみよう。そのために、スターバックスの場所も2件チェックしておいた。

井の頭線で渋谷まで出て、スターバックスでフラペチーノを飲んだあと、秋葉原まで繰り出した。石丸電気で、『パパと呼ばないで』の第5巻と、久々にクラシックのCDを購入。フォーレのチェロとピアノの作品集。同じような曲目で違う演奏者のCDをもっていたのだが、この前聴こうと思ってケースをひっぱりだしたら、中のCDが空だった。探せば見つかるとは思うが、大好きな曲を違う演奏者で聴いてみるのも一興と思い、購入した。クラシックは演奏者によってかなり曲の表情が変わってくるのだ。

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