亜熱帯

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雨はようやく昼過ぎにあがったものの、相変わらず蒸し暑い。しかし、今日散歩しないと、一週間丸々散歩しないことになってしまい、先週ためたストレス(これでも人並みにたまるのだ)を解消することができない。一方、蒸し暑い中散歩するのはそれ自身とても大きなストレスになるが、少なくともやるべきことをやったという満足感は残る。というわけで散歩だ。

まず、昨日せっかくCD-R(W)・DVD-ROMドライブ(リコーMP9120Aバルク)を買ったので、MP3ファイルを作って散歩に持っていこうとした。ところが録音したいCDがなかなか見つからない。さんざん探した末、しかたなく他のCDからMP3ファイルを作ったが、肝心のMP3プレーヤーRio500の電池がなくなっていることが判明。結局転送できなかった。

まず床屋にいった。前回担当してくれた人にやってもらった髪形がいまいちだったので、今日はその人がいないことを確認してから入った。今日担当してくれた人は女性。たまたまかかっていたラジオで「自分に自信をもつことが大切なんです」というようなことをいっていたら、「そうなんだよなあ」とつぶやいていた。腕もなかなかだし、人柄もよさそうだった。息子の嫁にどうかとおもうような人だった。

また新宿に向かう。なんか最近新宿だ。新宿の方に足を向けて起きている。

食事を食べるため小田急ハルクの地下におりる。人通りが少なくさびれた雰囲気の場所だ。迷った末、中華料理屋に入る。牛おかゆセットというのを注文した。結局のところおかゆだ。淡白。5年前入院していたとき食べた病院食を思い出した。まあ、おかゆを注文しておかゆがでてきたのだから、文句をいうすじあいはない。それでも、ぼくは男としては少食なので、とりあえず満腹にはなる。もう少しで食べ終わるというところで、この店の中国系らしい中年女性のウェイトレスがテーブルに顔を近づけてきた。一瞬、愛の告白でもされるかとどきりとしたが、「足りないならサービスでつけるよ」ということだった。もちろん、満腹なぼくは断った。ぼくがよっぽど物足りなそうにしていたのか、あるいは母性本能をくすぐるタイプということかもしれない。

散歩開始。それにしても蒸し暑い。9月の半ばだというのに、この暑さで、しかも連日スコールのような雨が降るということを考えれば、東京も亜熱帯の仲間入りだ。

方南通りを直進する。雨がとっくにあがっているのにカサをさしている人がいた。いくら酸性雨とかいわれていても、雨にぬれただけで体がとけてしまうわけではないだろうと、ばかにしていたら、また雨がぽつりぽつり降ってきた。と同時に右手で変な音がするので見ると、カサをささずに歩いていたサラリーマンらしき男性の体がシューッと音をたてて溶けている。あっという間に、服まであとかたもなく溶けてしまった。今まで男性がいた場所のアスファルトには、「382」という三桁の数字が黄色い文字で刻み込まれていた。ぼくが、アスファルトに刻み込まれた黄色い数字に関心を示すようになったのはそれからのことだ。

なんか別のページの内容が混ざってしまったようだが、気にせず先を歩く。雨は断続的に強くなったり、弱くなったりを繰り返す。カサを買う誘惑に何度となくかられたが、結局捨てることになるので、我慢して雨にぬれながら歩いた。

永福町の手前で、方南通りをそれた。思えばこれがよくなかった。しばらく静かな住宅街を歩くうちに、和田堀公園のそばに出た。もうあたりはすっかり薄暗くなっている。ぼくは再び方南通りに合流するため公園沿いの道を左折した。すぐ先で、道の低くなっているところに水がたまって池のようになっていた。ぼくの横を乗用車が減速して通り過ぎると、モーゼの十戒のように、池が2つに分かれて道ができた。今だ。ぼくは乗用車のすぐあとをおいかけたが、すぐに道は水でふさがれた。ふりかえると背後には路線バスが来ている。しかたなく、急いで50cmくらいの高さの公園内の道にとびのった。バスはちゃんと減速して通っていったが、対抗車線からの乗用車がまったく速度を落とさず通過したため、ぼくの足にビチャッと水がかかった。まったく、とんだアクロバットを演じてしまった。

散歩は西永福まで。6.8kmだった。西永福で一度だけ入った、50がらみの気の弱そうな父親と茶髪ロン毛の息子二人でやっている、ちょっとだめな感じがする'''定食屋'''(なにせメニューのうち、かなりの数に取り消し線が入っているのだ)が気になったので、のぞいてみたらすでに閉まっていた。というより日曜が定休日なのかもしれない。

井の頭線で渋谷に向かうが、混雑をさけて一駅手前の神泉でおりる。スターバックスでフラペチーノを飲みながら、正面の東急本店をながめていたら、急にごまだんごが食べたくなった。秋になったら食べようと思っていたが、なかなかやってこないので、先に食べて、逆に秋をよびこむことにする。

東急の地下でごまだんごを買った後、ブックファーストへ。特に本は買わなかったが、あちこちいろいろ見て回る。ほんとうに本屋の中ならいくらでも時間をつぶせるのだ。たとえ、永遠でも。

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