ソルジャーハウス

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天気予報では晴れて気温が高いということだったが、ぼくが出かけた時間には太陽は重苦しい雲の陰に隠れ、冷たい風がふきつけていた。早く目が覚めたら、鎌倉でも行こうかと思っていたが、そんな奇跡は起きなかったので、ぼくの散歩のホームグラウンドである目黒・世田谷方面にいくことした。

出発点に選んだのは東急の多摩川駅。名前が変わってから一度もおりていないかったからだ。あたりまえだが、駅前は昔と変わらないものさみしい雰囲気だった。東横線の急行が止まるということが信じられない。

多摩川で下りたのにはもう一つわけがあって、以前このあたりを歩いたときにおいしそうな蕎麦屋を見つけたので、今日は入ってみようと思ったからだ。そのときはすでに食事を済ませていたので、入らなかったのだ。多摩川に程近い何もない住宅街を、ただただ蕎麦屋を目指して歩く。散歩そのものではなく、そのプロローグだと思って我慢することにした。音楽でも、長く重苦しい序奏のあとに軽快なメロディーが流れてきた方が効果的だ。

宝来公園という公園を過ぎて2、3ブロック先にその蕎麦屋はあった。「兵隊家」という一風変わった名前だ。時間はちょうど3時だったが、店内はかなり混みあっていた。繁盛しているようだ。穴子天せいろを注文した。1200円だ。蕎麦は、白くて細い更科風。それでもこしがあってうまい。蕎麦の量は若干少なめだが、天麩羅は穴子2つのほか、野菜の数も多く、なかなかだ。そばつゆとは別に天麩羅専用のつゆがついてくる。穴子の白身につゆをたっぷり含ませて口に入れると、舌がとろけそうにうまかった。

ところで、兵隊家という店名の由来だが、「先代が兵隊にいったから」だそうだ。それが理由なら、今の日本の店のうち、かなりが兵隊家という店名にしなければならなくなる。

店を出て5分くらい歩くと田園調布の駅についた。何となくそういうことではないかと想像はしていたが、田園調布からたどりつく自信がなかったので、多摩川から歩いてしまったのだ。次来るときは、田園調布から歩くことにしよう。

自由が丘方面に向けて歩く。学園通りという名前の通りだ。街の喧騒を横目に、しばらく歩くと、自由ヶ丘学園があった。何をかくそう、自由が丘という名前はこの学園からついたのだ。「ヶ」が「が」に変わってしまったのはなぜなんだろう。

そこからは下馬通り、上目黒と、いつも歩いているような道をたどり、中目黒まで歩いた。9.7kmだった。うすら寒かったこともあるが、今ひとつ気乗りのしない散歩だった。昨日歩いた江東区の方が面白かった。そろそろホームグラウンドを変更する時期かもしれない。

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