床屋に入ってラーメン屋から出たら(床屋とラーメン屋が一体になった新しい形態の店舗というわけではなく、床屋から出たのと、ラーメン屋に入ったのを省略しただけ)、冷たい風が吹き始めていた。またせっかくの穏やかな気候を無駄にしてしまった。
田町でおりた。改札を出たときに体を覆った空気は意外に暖かかった。散歩開始だ。ぶらぶら歩くうちに赤羽橋の交差点に出る。12日には大江戸線が開通して駅ができるのだ。駅を入り口を示す標識はもうあった。あたりまえだ。
麻布十番。ここにも大江戸線の駅ができる。「開通おめでとう」という横断幕が商店街の入り口にかかっていた。陸の孤島ともいわれたこのあたりもいきなり交通の要所になってしまう。今日はメインストリートを歩くのはやめて左手の通りを歩いてみた。ピーコックがある。商店街はあっという間に終わって瀟洒な住宅街に入る。住所が元麻布に変った。落語の世界で麻布といえば、狸や狐の跳梁する物寂しい場所なのだ。確かに人影はあまり見えない。「おまえ麻布で気が知れぬ」ということもいわれたようだが、何のことやらさっぱりわからない。
六本木六丁目の交差点を渡って六本木トンネルへ。歩行者もトンネル脇の道を通れるようになっている。そこを抜けると今度は乃木坂トンネルにぶつかる。トンネルが開通したのは数年前だと思うが、一度もそばに近づいたことがなかった。脇にかかる歩行者用の陸橋を渡って、青山墓地へ。道には赤いレンガがしかれていて、いつもはRed Brick Roadなのだが、今日は黄色い落ち葉のせいでYellow Brick Roadになっていた。
道なりに進むと、表参道。このあたりの店は、色とりどりで外から見ているだけで楽しい。渋谷方向に進んで、青山ブックセンターに入った。美術書の品揃えはここが一番だと思う。ドミニク・コルパッサンというイラストレータの“PARIS & MOI”(イラストで紹介するパリのガイドブックのような本。イラストがとてもきれいだった)ほか一冊を買った。
結局、渋谷まで歩いた。6.4km。Parcoの二階のFranc franc、東急ハンズをぶらついたあと、あまりに安かったのでRight-onでジーンズを二着買った。
スターバックスでははじめてキャラメルアップルサイダーなるものを飲んでみた。名前から勝手に判断して、冷たい炭酸系の飲み物だと思っていたが、前回ほかの人が飲んでいるのを見て、ホットドリンクだということがわかったのだ。りんごの酸味がとてもいい。甘いことは甘いが、しつこさはなくあくまでもさわやかだ。ちなみに、サイダー“cider”というのは英語ではりんご酒のことだが(フランス語のシードル“cidre”も同じ意味)、これにはアルコールは入っていないようだ。

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