今日はいつもより早起き。1時前に家を出ることができた。12月とは思えないような暖かな陽気で、歩いているだけで気分がはずんでくる。
そのまま麻布十番に向かう。それにしても多摩川駅での多摩川線から目黒線への乗り継ぎはもう少しどうにかならないだろうか。ほぼ同時刻に到着するため、ちょうど階段のある場所からおりて、二階分階段をかけあがらないと間に合わない。ほとんどは、目の前でホームドアが閉まり、7分半次の電車を待つ羽目になる。
確かに麻布十番は好きな街だが、それにしてもいく頻度が多すぎる気がする。特に何があるわけでもないし、我ながら不思議だ。とはいうものの今日はちゃんとした目的が3つもある。
第一の目的は15日から17日までロシア大使館で開かれている「ロシア現代絵画秀作展」。第二の目的は、更科堀井の蕎麦。第三の目的は12日に全線開通したばかりの大江戸線だ。
腹もへっていたので、まず第二の目的を果たそうと、更科堀井へ。商店街を六本木方面に5分くらい歩く。中は満席で、待っている人も数人いた。これは後回しにした方がいいかなと思い、踵をかえした。
ロシア大使館は駅を越えた反対側、日比谷線の神谷町駅とのちょうど間くらいにある。麻布十番からいくときは狸穴(まみあな)坂という狭い坂を登る。さすがに狸が出そうということはないが、静かで落ち着いた感じのするいい坂だ。
さて、「ロシア現代絵画秀作展」だが、入場無料で、しかもふだん中々入ることの出来ないロシア大使館の中に入ることができる。治外法権という言葉にはそそられるものがあるし、いかない手はないだろう。警備の警官の間をすりぬけ重い鉄の扉を押して構内に入る。なんとなくコサックダンスや、ピロシキのにおいや、白樺の林などを想像していたが、中はコンクリートで固められた殺風景な空間。当然のことながら会場のホール以外にはどこにもいけないようになっている。
ホールの中は暖房がききすぎていた。入る前に入館証に名前、住所、職業を書かなければならない。人がおおぜい順番待ちをしている。年配のおばさんの割合が高い。名前を書き終わって、ようやく絵が展示されている2階にあがった。
いきなりルノワール、セザンヌ、モネの絵が展示されていたので、メインの展示場は別にあるのかと思ったが、手持ちの絵をついでに展示しているだけで、その他の絵はロシアの現代画家のものだった。期待していたのは前衛的とまではいわないまでも、現代的な感覚に訴えかけてくるものだったが、展示されているのは、きれいなことはきれいなのだけれど、おさまりがよすぎて心に響かないようなものが多かった。ファインアートというよりイラストレーションだ。(イラストレーションが悪いというのではないが)。スヴェトラーナ・ヴァリュエヴァという女性の作品が一番多く、一押しという感じだった。全ての作品で、おそらく作者自分がモデルと思われる女性が前面でポーズをとっていて、背景にはトランプのバックのような模様が描かれている。あまり魅力を感じなかった。いいなと思ったのが、オルガ・グレチナの作品。原色が基調の大胆な色使いで、ルノワールの作品のようなヴィヴィッドな感じを受けた。
再び、更科堀井へ。3時だというのにまだ混んでいた。5分ほど待って、ようやく席に案内される。注文したのはかき揚げもり。手まりくらいの大きさの球状のかき揚げがそばについてくる。エビやたまねぎが入っていてとてもおいしい。蕎麦もこしがあるし、味としては近くの永坂更科より上のような気がする。面白いことに、ここも永坂更科と同様つゆが甘口と辛口二種類出される。麻布ならではの心づかいだろうか。
麻布十番の駅から大江戸線に乗り込んだ。大門方面に向かう。赤羽橋、大門、築地市場、勝どき、月島、門前仲町、清澄白河、森下、両国、蔵前、新御徒町、上野御徒町、本郷三丁目、春日、飯田橋、牛込神楽坂を経由して牛込柳町でおりた。東口の階段をあがると、目の前に市谷柳町の交差点が見える。駅は「牛込」なのに、交差点は「市谷」。町名も市谷柳町だ。牛込という地名はつい最近まで郵便局や警察署の名前にしか残っていなかったが、戦前はこのあたり一帯が牛込区だった。それが駅名となって復活したというわけだ。
もう暗くなりかけているが散歩開始。新浪漫亭という居酒屋があってドアの前に大型の体重計がおいてある。暴飲暴食をしないようにだそうだ。
ぼくとしては新宿方面に歩いているつもりだったのが、実は逆だった。今さら戻るのも何なので、後楽園、東大前を経由して、上野御徒町で再び大江戸線に乗り込んだ。6.4km。上野御徒町という名前もなんだが、銀座線の上野広小路駅と日比谷線の仲御徒町駅両方と接続駅なので、落としどころとしては仕方のない駅名だともいえる。そういえば、上野広小路と仲御徒町は以前は接続駅ではなかったので、切符を買いなおす必要があったのだが、今ではそのまま乗換えができるようになっている。大江戸線開通の影響はこういうところにもあらわれているのだ。
さっきと同じ方向の電車にのりこんで終点の都庁前でおりた。都庁前は2面4線になっていて、都庁前止まりの電車は3番線に入る。ホーム向かいの4番線は光が丘行きだ。六本木方面の電車に乗り換えるには、階段を上り下りしなければならない。ちなみに1番線が六本木方面で、2番線が上野御徒町方面だ。
六本木方面の電車に乗り込んで一駅先、新宿でおりた。ほんとうは映画でもみようと思っていたのだが、今日は疲れたのでやめて、紀伊国屋で岩波文庫の『フランス名詩選』を買って帰った。原語も載っているのでいい。

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