休みの日はほとんど時間指定のされた用事がないぼくだが、今日はめずらしく2つもある。
最初の用事は歯医者。予約の時間は2時だが、その前に郵便局に郵便物の受け取りにいかなければならないので、少し早めに家を出た。日差しが気持ちいい。ふだん、目を閉じれば真っ暗だが、日向だと、赤紫だ。そういうときに心に浮かぶのは、とりとめはないが、どこかうきうきする思いだ。そういうのを、思いに羽が生える、とぼくは呼んでいる。
郵便物は銀行からのものだったので、カードの切り替えか何かと思ったが、銀行の合併によるインターネットバンキングの登録変更の案内だった。申し込みはしたものの、ほとんど利用はしていないので、余計なお世話という気もしたが、悪意を持った人に受け取られて、勝手に登録されたらえらいことなので、書留にするのは仕方ないことなのだろう。
歯医者は川崎にある。地下街に下りようとしたら、決まった時刻に小人の人形が動き出す時計のなかからはしごが下に伸びていて、そこからいかにも一般人という中年の男性がおりてきた。内部の見学サービスでもやっているのかと思ったが、そうではなく、現在修理中で、男性はただいつまでに修理できるかを中の人に確かめにいっただけらしい。しかし、そんなところに人が入れるとは思ってもみなかった。
歯医者には定刻少し前についた。矯正の経過は良好とのこと。ただし、右側でばかりかむ癖がついているので、左側でかむようにしたほうがよいそうだ。あと、2日に一度、就寝時にリテーナーという歯並びを固定する装置をつけているが、これは今後もやりつづけた方がいいらしい。
いったん川崎に出たときは、南武線に乗って、散歩の目的地にくりだすことにしている。ホームに車内の照明が消えて真っ暗の電車が止まっていたので何事か思ったが、しばらくまっていると明かりがついたので、乗り込んだ。すぐに発車はしたものの、アナウンスがあって、車両点検のため、武蔵中原で向かいのホームの電車に乗り換えてくださいとのことだった。少しめんどうだが、これくらいのトラブルはご愛嬌だ。
武蔵新城あたりで南武線はかなり高い高架の上を走る。電車の中からは新宿の高層ビル街が見えたりするのだ。
稲田堤でおりて、あまりにぎわっていない商店街を京王線の駅に向けて歩いた。今日は一度もおりていない駅から散歩しようと思っていたので、快速電車で3つ目のつつじヶ丘までいった。
急行も止まる駅なのでさぞにぎわっているだろうと思っていたが、少なくともぼくのおりた南口は、駅前とは思えないほどの閑散とした町並みだ。おそらくは町としての機能は北口に集中しているのだろう。
実篤公園という、おそらくは「仲良きことは美し哉」の武者小路実篤にちなんだ公園への順路を示す標識があちこちにある。それに半ば従いつつ、結局は中に入らずに通り過ぎる。中央学園通りという通りをまっすぐいけば、あっという間に住所は成城。調布市から世田谷区に入った。そこからは、小田急線に近づこうとしたり、離れようとしたり、微妙な力がはたらいてジグザグな経路をとり、最終的には経堂まで。8.3kmだった。
もう一つの用事の目的地は、経堂から準急で一駅の下北沢。芝居を観るのだ。ケラと広岡由里子が結成した「オリガト・プラスティコ」の『カフカズ・ディック』という作品だ。
下北沢は天狗祭りということで、あちこちに幟がたっていたが、ぼくのついた時間には、天狗の影も形もなかった。
コンピュータ関係の本が一冊ほしかったので、今日芝居を観る本多劇場の下にある、ビレッジヴァンガードに入る。下北沢で本屋はここしか知らなかったからだが、しかし、ここでコンピュータ関係の本を買おうとするのは、昆虫採集の専門店で、地球儀、それも北半球と南半球が逆になったやつを買おうとするようなものだった。店を出るときぼくが手にしていたのは、100円の点取り占いと、バンバンバザールというバンドのライブCD。バンバンバザールは、真心ブラザースのようなシンプルで、ハートフルな曲調。店内で流れていたので、思わず買ってしまった。点取り占いは、おみくじのような紙をほどくと、中からシュールな文言と点数が出てくる。家に帰ってから一つ見てみると「飛行機でおちた夢をみた ○8点」だった。ちなみに「○」はプラスということ。
まず受付でチケットを受け取ってから、食事するところを探す。昼は食べなかったので、昼夜兼用の食事だ。さすがに腹がへっていたので、ボリュームたっぷりのマックというハンバーグ屋で、ハンバーグと豚カツのセット。満腹度120%だ。
食後、北口に向かい、無印良品で靴下4足購入。ほんとうはコーヒーでも飲もうと思っていたのだが、時間になったので、劇場へ向かった。
芝居は、カフカの死の前後を舞台に、彼を売り出そうと努力する友人マックス・ブロートや、何人かの女性たちとの関係を描いたもので、とても面白かった。カフカは煮え切らないところがぼくに似ている。親近感を覚えた。
どうしても本屋によりたかったので、10時までやっている渋谷のブックファーストにいった。『Rubyプログラミング入門』。新しいことを覚えるのは何にせよ楽しい。岩波文庫の『カフカ短編集』。以前持っていたのだが、見あたらなくなってしまったので、芝居を観たことを機会に再度購入したのだ。
今日はいろいろ充実した日。豆をまくひまもなかった。

コメントする