隠里

| コメント(0)

食事は八重洲地下街のチェーン店の蕎麦屋。「辛味大根ざるセット」を注文。黄色がかった大根のおろしが器に盛られ、そこにそばつゆを注ぎ込む。たしかに大根の辛味はそばとマッチするが、苦味がそばとつゆの旨味を殺してしまうような気がした。今ひとつだった。

さて、今日も23区内を抜け出しての散歩だ。出発点は市川。総武快速で東京から5つめだ。

市川はかなりにぎやかな町だ。商店街が何筋かあり、どれも人通りが多い。すれちがった中年の女性が「あれ、もう4時だよ」と連れの子供に向かっていっていた。ぼくもそれを心の中で繰り返す。「あれ、もう4時だよ」。空は曇りがちで、肌寒い。

京成の市川真間駅はすぐそこだった。踏切を通過する電車の中はがらがら。そのあたりはずっと真間という地名だ。どこまでいっても延々と真間、真間、真間。どこにも市川パパはいない。

駅から少しはなれただけで、すぐ郊外の住宅地という風情になり、さらに歩くと農村になった。左手には畑が広がり、視野の中にビルは一つもない。はるか向こうにやけに段数の多い階段があり、こんもりとした丘の上に続いている。あの上には何があるのだろう。隠里か何かだろうかと思ってしまった。

その道をぬけると蓴菜池公園という公園だ。名前の下半分からわかるように池がある。上半分の「蓴菜」は広辞苑によると「スイレン科の多年生水草」だそうだが、今の季節はよくわからない。そのかわり、今の季節は野鳥だ。鴨の仲間が大量に群れている。くちばしが扁平な種類の鴨が、水面にすれすれの高さでくちばしをかくかく動かしながら、円を描くように泳いでいる。何か食べているのだろうか。その先の浅瀬では、顔を羽の中にうずめるようにして数羽の鴨が眠っていた。満腹して眠くなったのだろうか。

公園を抜けるとすぐ松戸市になった。一応目的地は松戸なので、あともう少しと思ったが、実はここからが遠かった。北総公団線の矢切駅を横目に、松戸方面に歩き出したつもりが、江戸川の河原の方へ向かっていた。急でやたら高い階段から、下を見下ろすと、その下には広大な河原だ。実は、手前の方は畑なのだが、区別がつかない。

そんなところで少し迷ってしまったせいもあり、松戸についたときには真っ暗になっていた。9.0km。松戸も大きな町だ。何となく北千住に似ている。

常磐線の各駅停車で新御茶ノ水までいき、秋葉原まで歩いた。探していたものがなかったので、結局何も買わなかった。

蒲田に戻ってから雑誌二冊と、本一冊を購入。『東京人』3月号「東京住宅」特集と、2月増刊「上野の森を楽しむ本」。あと、平凡社ライブラリの『カフカのように孤独に』。昨日、カフカに関する芝居を観たので、ちょっと調べてみたくなったのだ。

コメントする