午後までにあがるということだったが、2時過ぎに家を出ようとしたときには、まだ霧のように細かい雨が残っていた。あわてて持ち出した傘を開くと、骨が一本おれてだらりとぶらさがった情けない状態になっていたが、別の傘にとりかえるために戻るのはやめた。この雨はすぐにやむはずで、傘をさすのは駅につくまでの間というつもりだったからだ。
蕎麦を食おうと思った。田園調布の今まで何回かいったところにしようかと思ったが、ちょっと気分転換に学芸大学までいくことにした。夢呆というかなり有名な蕎麦屋があるのだ。
急に思いついたことなので、場所や営業時間の下調べはしていなかった。学芸大学の駅前の本屋で調べる。てっきりダイエー碑文谷店の方だとばかり思っていたが、東横線の線路をはさんで反対の方だった。それはいいのだが、問題は営業時間だ。土曜日は午後3時で閉まってしまうとのこと。時計を見ると、3時20分。もうだめだ。最近営業時間が変わったということも考えられるので、一縷の希望を胸に店の前までいってみることにした。
雨は相変わらずの霧雨。傘はささない。
線路沿いの商店街から少し離れた一角にその店はあった。なかなか感じのよい店構えだったが、やはりもう閉店していた。とりあえず、今日のところは店の場所を確認できたということだけで、満足することにした。満足できないのは腹。しかし、また駅まで戻るのもなんなので、そのまま歩きつづけることにした。最悪三軒茶屋で食事にしようと腹を決めたのだ。
すっかり住宅地に入り込んでしまったのだが、幸いなことに5分ほど歩くと蕎麦屋が見つかった。風格は感じられないが、一応ちゃんとした蕎麦屋らしかったので、入ることにした。土曜日の駅からはなれた場所にしてはそこそこの客の入りで、先客が3組ほどいた。天せいろを注文。備え付けてある漫画本を読みながら、できあがるのを待つ。
モーニングの「カバチタレ!」をはじめて読んだ。フジテレビで毎週木曜にやっているドラマは最近毎週見ている。深津絵里演じる栄田さんのキャラクターが大好きだったのが、原作を読んでみてびっくり。栄田さんはごつい中年男だ。違和感は感じたが、原作は原作でまたちがったおもしろさがある。
窓の外を見ると雨が本降りになっていた。
ようやく蕎麦ができた。蕎麦は白くて細い更科。こしがあっておいしい。だが、天ぷらは今ひとつだ。衣がつきすぎだし、油でじんわりしめっている。まあ、蕎麦が本職なので、天ぷらに過度な期待をもってはいけないのはわかっているが。
外に出るとやはり本降り。しまいこんだ折りたたみ傘を再び取り出す。折れた骨の部分が顔にぴたぴたあたって気持ち悪い。その部分が風下にくるように傘をまわした。
下馬あたりから中目黒に近づくにつれ、再び雨は小ぶりになった。西郷山を通って渋谷まで。6.7kmだった。
マークシティの雑貨屋を見て回る。タイムレスコムフォートの豹をかたどったフラワーベース(花瓶)が気に入った。職人が手作りしているそうで、一つ一つ表情がちがうようなのだ。
ブックファーストへ。講談社新書 森村進著『自由はどこまで可能か リバタリアニズム入門』を買った。とことん個人の自由と権利を追求するリバタリアニズムという考え方について書かれている。理論的にはとても共感できるのだが、そういう社会に暮らすのがほんとうに幸福かどうかは難しいところだ。
スターバックスでコーヒーを飲み、東急東横店地下のFood Showで夕食のパンを買い込んでから帰路についた。
雨は相変わらずだ。

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