東京日和に翻弄

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今日という日をひとことでいうと『東京日和』に翻弄された日ということになる。

去年のゴールデンウィークに映画『東京日和』のロケ地を東京23区のあちこちめぐって写真を撮ってきた。『東京日和』には23区のほか、多摩地区と福岡の柳川が登場する。柳川は遠いので、この辺でせめて多摩の写真くらいは撮っておこうと思っていた。

午前中に目が覚めたので、PCで『東京日和』のDVDを見返すことにした。今まで何度も見ているが、その度に不思議にリラックスした気分にさせてくれる。あまりにリラックスしすぎて、今朝は見ながら眠ってしまった。目が覚めると12時過ぎで、DVDは途中(終盤、主人公の島津がガスの検認を見て涙を流すところ)で止まっていた。キーボードやマウスをさわっても何の反応もない。ハングってしまったようだ。仕方がないので、リセットボタンを押して強制的に再起動。しかし、起動時にハードディスクをこするようないやな音がして、ブルー画面になってしまう。それからが一苦労。chkdskをかけて復旧させたら2時近くになっていた。

デジカメを忘れずに持って、ようやく出発。気温は高いが空気がひんやりする日だ。

食事は久しぶりに蒲田駅前の串揚げ屋。関西に遊びにいってきた会社の後輩から串揚げの話を聞いたら食べたくなったのだ。串揚げは大阪の名物の一つらしい。多分、今日食べた串揚げは大阪のものとは全然違うだろうが、それなりにおいしかった。

近くの席に座っていたカップルの女性の方が知り合いの子供の話をしていた。本を読みながら、「ティッシュもってきて。早くしないとでちゃうよ」というそうなのだ。家族の誰かのまねなのだろうか。どういう家なのだろう。

東急多摩川線の電車が発車したばかりだったので、JRで渋谷に向かった。渋谷からは井の頭線で明大前。京王線に乗り換えて、京王永山まで。竹中直人と中山美穂の二人がランニングしていた公園、原峰公園の最寄駅なのだ。

駅前は一応コンコースで車道と分離されているが隣の多摩センターとは比較にならないローカルな雰囲気。とりあえず多摩市役所方面に歩き始める。例によって道に迷い、多摩市役所を通り越したつもりが、逆に近づいていることがわかった。市役所の駐車場にとてもきれいな白い花が咲いているのを見つけて、これは写真にとらなきゃ、とデジカメをとりだしスイッチを入れるが、ピーピーピーという不吉な電子音が響く。メモリーカードを忘れていたのだ。大ショック。間抜けすぎて、笑うしかなかった。

公園に行くのはやめて永山の駅にUターンだ。今日の目的地はあと二つ。二人が郵便屋さんとすれちがった民家と、石のピアノが置いてあった畑だ。畑は民家のそばらしい。また、石のピアノはもとからそこにあるものではなく、どこからかもってきたものらしいので、あの畑を撮ってもほとんど意味がないということがいえる。なので実質、民家だけが目当てだ。

とはいうもののわかっていることは、住所が稲城市の坂浜ということだけで、坂浜というのはサハラ砂漠も真っ青の広大な地域なのだ。もともと今日写真を撮れるとは思っていなかった。今日はうまくいって場所の絞込み、フィールドワークだ。

隣の若葉台でおりて、歩く。地図に載っていた細い道を歩いてみようと思ったが、キャンプ場の中だった。今の時期は錠で閉ざされて閉鎖中だった。

映画に出てきた民家のまわりのように、舗装されていない道路とのどかな農村風景はごく一部かと思っていたが、坂浜と呼ばれる地域の、大半がそんな感じだ。これでは探しようがない。あるいはあちこちで宅地造成中だったので、すでに壊されている可能性もある。

県境というバス停があった。県境でもなんでもなく稲城市のまん真中なのだが、なぜそういう名前なのだろう。そこからまた脇道に入ってみた。きつい勾配の坂を登っていたら、へとへと。人通りの少ない寂しい道で、しかもだんだん暗くなってきて、心細い気分になってきた。ようやくバス通りに出たので、あきらめてバスに乗ることにした。しかし、今いったばかりで、次は30分後だった。そこで待とうにもベンチも何もないので、隣のバス停まで歩くことにした。

2つ目のバス停の手前で、右手の道からこちらに曲がってくるバスを発見した。大慌てで走って間に合ったと思ったが、非常にもドアを閉める運転手。そんなあ、と思ったが、1m走ってからドアが開いた。気がつかなかったらしい。

バスは新百合ヶ丘行き。なんとなく遠い感じがして、ゆっくりするかと思っていたが、あっという間だった。

新百合ヶ丘ははじめてだ。小田急線の急行が止まる駅だし、デパートがたくさんあるような印象があったので、吉祥寺や町田に匹敵するほどの町を想像していたが、せいぜい溝ノ口ほどの中規模な町だった。周りには商店街がほとんど発達していないし、駅の周辺も全体的に人通りも少ない。ちょっとがっかりした。

帰りの電車の中で高校生の男が数人で話をしていた。アメリカにいった先輩がステーキ屋に入って焼き方を尋ねられて「ミディアム」と答えたが、出てきた肉の量の多さに驚いたらしい。焼き方と量は何の関係もないので、何で驚いたのかという話になって、一人が「ミニマム」と間違えたんじゃないかといった。ううん、さすがにそれはないだろう。他の生徒も納得していなかった。

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