蒸し暑いのに、風がやたら強く、どういう服装ででかけてよいか困ってしまった。結局、考えられるいくつかのパターンのうち薄着なほうから二番めの服装にした。
ぼくの全身全霊が蕎麦屋にいきたがっていた。よくいく蒲田東急プラザの家族亭に入った。全身の方は蕎麦が食いたいといい、全霊の方がうどんが食いたいというので、両方一度に味わえる「あいのり天せいろ」を注文した。せいろが二つ出てきて、それぞれ蕎麦とうどんが乗っているのだ。後からぼくの隣に座った中年女性が、蕎麦・蕎麦の「あいのり天せいろ」を注文していた。それじゃ「あいのり」じゃないと思うのだが。
蕎麦とうどんを交互に味わいながら浮かんだ光景は新橋の雑踏。散歩は新橋からだ。
まずは烏森神社の通りを進む。音楽を聴こうとヘッドフォンをかばんから引っ張りだすが、コードがからまってにっちもさっちもいかない。歩きながらほどいているうちに、あっという間に虎ノ門病院の前まで来てしまった。
溜池の交差点から日枝神社の周りを半周して再び外堀通りを赤坂見附まで。赤坂見附で、シーズというリフレクソロジーサロン(足裏マッサージ)のちらし(このちらしを持っていくと800円引きだそうだ)を渡された。この前入ってみたQueensWayは英国式だったが、ここはドイツ式で、やはり痛くないのが売りのようだ。ドイツと英国どちらが気持ちいいのだろう。
上智大学の脇を抜けて四ツ谷。駅前の交差点でぱらぱらと雨が手にあたった。傘をもっていなかったので、ここでいったん雨宿りをしたほうがいいのではないかとも思ったが、えいやで散歩続行。やはりその決定は間違いで、外濠公園で本格的な雨になった。野球場(少年野球の試合をやっていた)のそばの木陰で雨宿り。しかし、ついには真夏を思わせるようなスコールになり、試合は中断。木の葉や枝も役に立たず、ぼくはすっかりずぶぬれになってしまった。
10分ほどしてようやく雨が小降りになったので、散歩再開。いつのまにか服にてんとう虫がとまっていた。幸運を呼ぶ七星てんとうではなく、皮膚病のようなさえないがらのやつだ。なんだかぼくは、そいつを目的地に送り届ける役目を授かったような気がして、そのままにして歩きつづけた。
市ヶ谷を越えて、大江戸線の牛込柳町で、散歩を終えた。ふうっとてんとう虫に息を吹きかけて、到着の合図をした。てんとう虫はどこかへ飛んでいった。
大江戸線に乗り、春日で三田線に乗り換えて神保町まで。大江戸線はすべてそうだが、春日の乗り換えもかなり歩かされた。
神保町ではコミック本を物色。岡野玲子の『妖魅変成夜話』第1巻と、古屋兎丸の『Garden』を買った。前者はkajiさんという方の推薦で、コミカルな仙界もの。後者はこの前たまたま読んだ同じ作者の4コマ漫画集『palepoli』が面白かったので、買ってみた。元来あまり漫画は読まないのだが、ここのところはまりかけている。
秋葉原まで歩いて、そこから帰路についた。

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