海が見たくなったので、葛西臨海公園にいくことにした。普通にいったのではおもしろくないので、水上バスに乗ろうと思った。水上バスは日の出桟橋から出ている。葛西臨海公園行きの水上バスはちょうど一時間おきに日の出桟橋から出ている。途中どこかで食事をとれば、3時の船がちょうどいい感じだった。
浜松町に出て、世界貿易センタービルの地下で食事。洋食屋のようなところにはいって、スパゲティノルマンディーというグラタンの下にスパゲティが入っているやつを注文したが、スパゲティがアルデンテじゃなくて、今ひとつだった。食後のコーヒーも今ひとつ。
ゆっくりコーヒーを飲んでいたらちょうどいい頃合になっていた。少し早足で、日の出桟橋へ向う。まず切符を買って乗船口へ。葛西臨海公園までは800円だ。船はまだ着いていなかった。
10分ほどして船が着いて、桟橋の上で並ばされた。地面が若干ゆれている。いやな予感がした。少し前にジェットコースターに乗ったときの記憶がまざまざと甦ってくる。あれ、ぼくはひょっとしたら船が苦手なのかもしれない。なぜそのぼくがこんなところにいるのだろう。そんな気分になってきた。乗船して、その気分がますます強くなる。途中で気持ち悪くなったらどうしよう。なんか心臓がどきどきする。船の揺れに自分が同期しないよう、懸命にふんばろうとした。
いよいよ出航。どうなることかと思ったが、実際動き出してみると、どうということはない。風があたって気持ちいいくらいだ。
目につくのはカモメ。岸で見るときはカモメはいつも飛んでいるが、海上では波間にぷかぷか浮かんでいるということにあらためて気がついた。それなりに波が高いので、浮かんでいるだけでも大変そうだった。海の上でも電波が届くかどうか確認しようと思って、PHSを取り出そうとしたが、なんと家に置いたままだった。買ってから忘れたのは初めてだ。
45分かかったはずだが、風景を見ていたらあっという間だった。無事葛西臨海公園に到着。下船してもしばらくの間は体がゆれていた。
当初の計画通り、橋を渡って西なぎさという三日月型の人口の砂浜に向う。海の真々中を通り抜けてきたので、あらためて海に対面してもいまひとつ感動が薄かったが、それでも、その場にしゃがみこんで潮の満ち引きを眺めてみた。なんか、ちゃんと引いてしまう前に次の波がやってくる。せわしないものだ。
再び橋を渡って本土にもどり、臨海公園の東半分、鳥類園の方にいってみる。うってかわった静けさ。この前来たときは雪が残る非常に寒い日だった。風が強く耳や指や鼻がちぎれそうだった。そんな日でも鳥の数はもっとずっと多かったが、今はほとんど見かけない。まあ、いずれ冬がくれば渡り鳥たちが大量にやってくるのだろう。
人が立ち入れない場所を板塀ごしに覗いてみたが、めぼしい鳥はほとんどいない。ただ、はるか遠くの杭の上に白い鳥がとまっている。ひょっとしてサギかと思ったが、そこからではぼくの1.5の視力をもってしても確認できなかった。
決して珍しくはないが、キジバトがいた。好きな鳥だ。街中によくいるドバトより顔がずっと可愛らしいし、何より群れずに単独行動をするところがいい。
ちょうどさっき覗いたところの反対側にある板塀。今度は鳥たちが間近に見えた。白い鳥はさっきとまったくそのままに杭の上にとまっている。やはりコサギだった。優雅な身振りだ。
公園の外に出る。実はもう散歩がはじまっていたのだ。環七の脇に雑貨村という一角を発見した。雑貨屋ではなく雑貨を作っているメーカーが集まっている場所らしい。道は赤いレンガで舗装されている。片側がふさがれているので、車は全く通らない。堂々とセンターラインを歩いてみた。
東西線の葛西駅を越えてさらに歩く。地下鉄博物館の横手から江戸川の方に向かった。寺や神社が並ぶ静かな道。いい感じだ。交通の激しい通りに合流しそうになったので、その前に曲がってみたら、割れた窓ガラスと廃棄されたゴミの道。裏寂しい気分で歩いていたら犬の糞をふんでしまった。文字通りふんだりけったりだ。
古川親水公園。公園という名前はついているが、単に細い水路沿いの道だ。でも、古都とでもいうような風情があって、とてもいい感じだ。
江戸川区は案内板がほとんどないので、どちらに進んでいいかまったくわからない。まわりの空気の中に浮かぶ青い粒子がどんどん濃くなっていくし、その濃い青が自分の中に入り込んできて、心細くなってくる。
目的地は都営新宿線の駅。一之江か瑞江、できれば一度もいったことのない瑞江にしようと思った。瑞江大橋という新中川河口の橋を渡る。左手にある水門の上に窓が並んでいる。水門の開閉などの作業をする場所だろうが、普通のオフィスとしても使えそうだった。やたら横に長いのが若干不便だが。
そこから暗い道をとぼとぼと何十分も歩いて、ようやく街の灯り。瑞江駅だ。疲れた。11.2km。
日比谷に出てまたビックカメラ。昨日迷った末に買わなかった『異人たちとの夏』のDVDを買う。昔大好きな映画だった。

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