もうひとつの塀の中

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昼食は東京駅でカツカレー。いつもは地下のアルプスという店だが、今日は1階の渡来亭という店。とても久しぶりだ。値段はアルプスの2倍以上もするが、味が2倍以上おいしいということはない。カレーの味だけだと逆にアルプスの方がぼくは好きかもしれない。ただカツは渡来亭の方が全然上だ。

さて今日は皇居の東御苑から北の丸公園の方にまわってみようと思っている。どういうわけか、皇居周辺はぼくの散歩コースから完全にはずれており、ほとんど歩いたことがない。今まで歩いたコースを地図上にマッピングすると中央に大きな穴ができている。今日はその空白を少しでも埋めるつもりだ。

大手門から東御苑の中に。入り口のところに仁王のようにでんと警官が突っ立っている。上野公園の西郷隆盛の像にそっくりだ。ずいぶん怖い顔だと、少し怯えたが、小さな子供が前を横切ったときに微笑みかけた笑顔が穏やかそうだったので、ほっとした。

受付で入場札をもらって中に入る。入場は4時までで、4時半になると閉まってしまう(冬場はさらに30分早まる)。月曜と金曜は閉園だ。

せっかくなので入り口近くにあった三の丸尚蔵館に入ってみる。宮中に伝わる皿とか家具とか小物類が展示してある。典型的な「和の美」の中に、一つだけアラビアンナイトに出てくるような人物や建物が描かれたエキゾチックな皿があって面白かった。

道が二股に分かれていた。右手に進むと二の丸、左手は本丸らしい。まずは本丸にいくことにした。松の廊下の跡という立て看板があった。そう皇居はもとは江戸城だったのだ。本丸はその中心。今はもう跡形もなくなっていて広々とした庭が広がるばかりだ。

作ったのはいいけど20年もたたずに焼けてしまった天守閣の跡にのぼる。なかなかの見晴らしだ。あっぱれあぱっれと殿様気分を味わった。

汐見坂という坂を下って二の丸へ向う。名前の通り、昔は海が見えたようなのだが、看板に日比谷入り江と書いてあったので、家康が入る前の太田道灌の時代の話だ。古い。二の丸は、池あり、花ありの普通の日本庭園だった。

梅林坂という坂をのぼって再び本丸へ。そのまま北詰門から外に出る。皇居東御苑は皇室とか天皇をあまり感じさせない場所だった。むしろそれより古い徳川や太田道灌の時代の名残を色濃く感じた。

歩道橋を渡って北の丸公園の中へ。こちらも散歩で歩いたことは一度もなかったのだった。気持ちのいい普通の公園だ。武道館の脇を通って田安門から外に出る。門の外側にある像の名前を見ると子爵品川弥次郎と書いてある。何をした人だ?その横の奇妙な塔。常燈明台という名前で、灯台は灯台だが、さすがに海を照らすためではなく、靖国神社の霊をなぐさめるためのものらしい。

和洋女子大付属高校・中学の脇を通って二合半坂へ。この坂もはじめて歩く。このあたりにこんなところがあったなんて驚きだ。

飯田橋から水道橋、御茶ノ水、秋葉原と中央線・総武線沿いを歩く。人気のない浅草橋の路地をぬけ、柳橋から隅田川を一望する。両国橋を渡り両国へ。1年前両国でダンスを見たときのことを思い出した。ダンスはまるでわからないが、とにかくとても新鮮だった。またぜひ見たいものだ。

JRの両国駅を通り越して大江戸線の両国まで歩いた。11.2km。JRと大江戸線の間は歩いて10分以上の距離で、同じ両国という駅名がおかしいくらいだ。東両国か、新両国、あるいは江戸東京博物館前の方がいいのではないか。

どこにもよらずまっすぐ帰った。

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