カレー。といっても食券を買うようなカレースタンドのカレーではなく、本格的な欧風カレーを食べたくなった。今までそういうときはニコタマのラボールにいっていたが、今日の散歩は別の場所を考えていたし、同じ店ばかりにいくのも芸がなさ過ぎる。
というわけで渋谷の東急東横店の9Fに入っている新宿中村屋へ。渋谷は池袋と対照的に、デパートの存在感があまりない街だが、この9Fのレストラン街はなかなかだ。とりあえず一周してから、予定通り中村屋に入る。壁がガラス張りで、一見カフェのように見える。入るのははじめてだが、実はらボールも中村屋の系列店。メニューはかなり似通っている。ただ、ラボールではドリンクやサラダ、デザートのセットメニューは300円増しだが、こちらは480円増しだった。というわけで単品のシーフードカレーにする。やはり、ふだん食べる安いカレーとはまったくちがうこくがある。とてもおいしかった。
井の頭線で明大前に出て、京王線に乗り換え。来た電車は快速だった。快速といっても快く速くなんかはなく、ほとんど各駅停車だ。東横線の急行は隔駅停車と陰口をたたかれるが、それ以上。笹塚~つくしが丘で通過する駅がたったの3駅で、停車駅が7駅だ。
その電車は橋本行きだったので、調布で乗り換え。ほんとうは東府中から歩き始めようと思っていたのだが、来た電車が準特急(東府中は通過)だったので一駅先の府中までいってしまうことにした。次の各駅電車でちんたらいくにはもうかなり遅い時間だった。
府中に着いたのはちょうど4時半ごろ。とりあえず東府中に向かって歩き始める。車窓から見えた北の甲州街道側は殺風景な感じだったので、南側を歩くことにした。
府中の街は、単ににぎやかなだけでなく、歴史のある街ならではのしっとりした情緒のようなものもある。お散歩的には少なくとも調布より上だと思う。ただ、今日は競馬の開催日らしく、いかにも競馬帰りという集団が三々五々街を闊歩していた。
東府中につく。何年か前矢野顕子のコンサートで来たのだが、そのときは夜のせいかもっとにぎやかに見えた。昼の光の下で見ると郊外の中程度の街という感じだ。そのときと同じ道をたどって、府中の森公園に向かう。その中の芸術劇場で、コンサートが開かれたのだ。雨の降る夜だった。開演時間に遅れて、ぼくはカサをさしながら小走りでその道を歩いた。その矢野顕子もとうとう坂本龍一と離婚したらしい。
府中の森公園。この前は夜だったので、公園はまったく見なかった。今日はじめて見たが、決して大きくはないが、庭のきれいな公園だ。
目的地は国分寺なので、今が東に寄り過ぎていることは地図なしでも明らか。公園を出てさきほどと逆に西に歩く。しばらくまっすぐ進むと、行く手にちょっと不吉な感じのする塔が見えてきた。東芝府中工場のエレベータ塔だ。そのまま進むと北府中に出るということなので、次のバス通りで右折。ちょうど国分寺行きのバスが来たので、方向がそれでいいことが確認できた。
東京近郊の街は、歩道もないような狭い道路に車がひしめきあっているところが多いのだが、府中は道路の整備状況がとてもいい。その道もとても歩きやすかった。それが、国分寺市に入ると同時くらいに歩道がなくなって、片側一車線に減ってしまった。車も順調に流れているときはそれほど排気ガスを出さないのだが、流れが悪いとまわりの空気が汚れる。こういうお道路はお散歩的に最悪だ。
国分寺駅に着いたときにはもう暗くなっていた。6.0km。
中央線と山手線を乗り継いで渋谷に出た。ブックファーストに向かう。映画が公開されたばかりなので、指輪物語関係の本がたくさん平積みされていた。古くからの指輪物語フリークのぼくとしては映画は必ず観にいくつもりだ。
今日の目的はポール・オースターの『ミスター・ヴァーティゴ』。空を飛べるようになる少年の物語。すぐそばにグレアム・スウィフト『ウォーターランド』という本が積んであって、そちらにも興味をひかれた。ほかにも、ロバート・グレーヴズ著、ローマの第4代皇帝クラウディウスの自叙伝の体裁をとった『この私、クラウディウス』などおもしろい本がたくさんあって「めまい」を感じるほどだった。まだまだ読まなければならない本がたくさんある。
結局「めまい」にちなんで『ミスター・ヴァーティゴ』を買った。単行本なので少々高い。前のTally'sでコーヒーを飲みながら買ったばかりの本を読んでみたが、面白くてすぐにひきこまれてしまった。
外に出ると、歩きタバコの男がいた。目の前に灰皿があったのに、そこは通り過ぎわざと路上に吸殻を捨てた。タバコを吸うやつはほんとにどうしようもないやつばっかりだ。

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