家を出たとたんぽつぽつと小粒の雨が降りだした。なんだかさえない一日のはじまりだ。
恵比寿へ。アトレの中のトンカツ屋に入って、アスパラ巻きカツ定食。なぜかその瞬間に限ってアスパラとアロエを混同していて、料理を口に入れるまで、アロエの柔らかい食感、甘い味を期待していた。もちろん、実際そんなものがあったとしたら珍味の部類に入ると思う。
外に出ると、先ほどの雨が嘘のような強い日差し。夏到来だ。満腹で散歩開始、駒沢通りを中目黒方面へ。一本向こうに気持ちよさそうな路地が見えたので入ってみる。残念なことにその路地はすぐに突き当たりにぶつかってしまったが、さらにもう一本向こうに同じような路地が続く。
ちょっと見には気がつかない家と家の間に公園の入り口があった。歩き始めたばかりだが、日差しにまけて早速休憩。奥のベンチにカップルが座っていて、二人で雑誌のようなものを覗き込んでいる。その距離からはよくわからなかったが、雰囲気からして旅行のガイドブックではないかと思った。夏の旅行の相談だろう。吹き渡る風が気持ちよくぼくはしばし目を閉じた。目を開けたらカップルは消えていた。もう旅行へ出発したのかもしれない。
公園を出て少し歩くと古びた個人病院のような建物。その前に母と娘らしい二人が座り込んでいた。母は建物のデッサンをし、娘はそれとはまったく関係なく、学校の宿題のようなものをやっていた。ここまでの散歩はなかなか理想的だった。これから先のことを考えればここでやめてもいいくらいだった。
道は槍ヶ崎の交差点にぶつかった。結局駒沢通りだ。顔を出したばかりの日比谷線沿いに中目黒まで歩き、さらに東横線のガード沿いをいく。このあとはほぼ惰性で歩いてしまった。ほとんど歩きつくしてしまった地域で新味はないし、じりじりと照りつける太陽に催眠術をかけられて気力と体力を奪われ続けた。蛇崩の交差点までいって、そこからは方向を渋谷方面に転じた。東山から坂を下って菅刈公園でまた休憩。セルリアンタワーの前のかっこいい歩道橋(エレベータ付!)を渡って渋谷の街中へ。
とにかく喉が渇いた。夏になるとぼくをつき動かす衝動は喉の渇き以外何もない。いやすためにスタバに入ったが、一番混む時間帯で満席。しかたなく飲み物をかかえて、少し歩き回った。
涼みがてらブックファーストに入った。川上弘美の新刊(短編集)が出ていた。最近よく本を出している。あまり多作なようには見えないが。今日のところは買わずにパス。
疲れてはいたが精神的に物足りなかったので表参道まで歩くことにした。利重剛監督のクロエという映画がイメージフォーラムでやっているそうなので、見ようかなとも思ったが開始時間がわからなかったのでやめた(調べたら7月10日までなので、結局見る機会はなさそうだ。そもそも、この映画のことを知ったのは今日だった)。
青山ブックセンター本店へ。雑誌東京人8月号特集『2003年東京計画地図』と、池澤夏樹の『バビロンに行きて歌え』を買った。昨日買った『スティル・ライフ』があと少しで読み終わりそうだったからだ。何かが起こりそうで起こらない、ぼくの好きなタイプの小説だった。
表参道で散歩は終わり。7.8km。といっても本屋にいる時間の方が長かったような気もするが。
千代田線で日比谷まで出て、ビックカメラをひやかした。ビールだけ買って帰った。

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