そろそろお尻に火がつきつつあるので、夕方まで会社で仕事をして、それから散歩をすることにした。もとよりこの季節は昼間散歩するには向かない。
台風の日、蒲田の駅ビルの本屋で450円という格安の扇子を見つけていた。単色の和紙だけで柄のないシンプルなやつだが、なかなか丈夫そうだった。その場で買おうと思ったのだが、本を見ているうちにどういうわけか忘れてしまった。というわけで今日買う。色はくすんだ水色。曇りの日の夕暮れのような色だ。
予定通り6時前に仕事を切り上げる。かなりのっていたので、そのまま続けるべきだったのかもしれないが、街の引力には逆らえない。
今日はPHSを家に忘れてきてしまった。当然あるべきアイテムがないのは、しっくりこない気持ちがするが、歩くのに支障があるわけではない。
さきほどから雨がときおり落ちてきているようで地面が少し濡れている。空はどんよりと曇っている。ちょうどさっき買った扇子のような色だ。その色を「夕グレー」と名づけることにした。
神田から歩き始める。仕事でそのあたりにいったとき、雰囲気がなかなかよかったからだ。皇居方面に向けて西口の商店街をゆく。平日はにぎわっているその通りが土曜の今日は閑散としていた。
一ツ橋を渡って内堀沿いに出る。歩き始めはよかったがだんだん蒸し暑さが耐えがたくなってきた。扇子を激しく動かすが焼け石に水。飯田橋の手前で本当に雨が空から落ちてきた。最初、扇子の先から水芸のように水が飛び出してきているのかと思った。
にぎやかな神楽坂をのぼる。一歩進むごとに汗がしぼり出されるようで坂道がやけにこたえる。大久保通りと交わる交差点からは一本裏道に入った。
早稲田大学の前に出た。そろそろ潮時だったので、東西線の早稲田で散歩を終えてもよかったのだが、つい一駅先の高田馬場を目指してしまった。早稲田通りを延々と歩く。いろいろな店があって飽きない。半分くらい店がしまっているので、8時を過ぎているようだった。
高田馬場到着。8kmちょうど。
新宿か渋谷でおりて食事でもしようと思っていたが、疲れてしまって、せっかく確保できた座席から離れるのがいやで、品川まで乗ってしまった。

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