日吉にいくことにした。実は今まで言ったことは1度しかないと思う。それも二十年近く前のことだ。
駅前は東急百貨店があってとても華やかだ。まずは東口にいって慶応大学の銀杏並木をおがんで、西口にとってかえす。放射状に何本も道が伸びていて、それぞれ商店街になっている。左斜め前が緑のアーチの普通部通り、正面が赤いアーチの日吉中央通り、右斜め前が青いアーチの浜銀通り、そして右が黄色いアーチのサンロード。はじめてなので、やはり「中央」を歩いてみることにした。
それほどにぎわっていないごくふつうの商店街だ。やがて商店がなくなり住宅地になる。道はなだらかにのぼっていき、両側とも下り坂で尾根道だということがわかる。とりあえずいけるところまでいってみることにした。のぼったときとは正反対の急坂をおりてしばらくすると大きな道路にぶつかって道は終わる。
自分としては西の田園都市線沿線に向かっているつもりがいつのまにか南を向いていたようだ。早淵川という鶴見川の支流を渡ると行く手には小高い山。そのふもとを迂回するように進む。住所は新吉田町だった。そのあたりで自分の進んでいるのが新横浜方面だということに気がつく。ぼくは、おとなしく運命を受け入れ、新横浜を目指すことにしたのだった。
蛇行する緑道ぞいをしばらく歩いた。蛇の胴を串刺しするようにショートカットして、ちょっと得した気分になったりした。枯木の枝の間から下弦の月がのぞいていた。これは写真に撮らなければとシャッターを向けてみたが、ぶれてろくな写真にならなかった。今日それ以外にも何枚か撮ったが、使えそうなものは一枚もなかった。
右手すぐそばに地下鉄の新羽駅が見えたが、かまわず歩き続けた。地下鉄の高架の線路が頭上を横切ると、緑道の下の川の流れが顔を出して、緑道の終わりを告げた。
鶴見川の堤防にあがる。もう夕暮れの粒が飽和して、あたりに積み重なってきた。ジョギングをする人と自転車に乗る人以外ほとんど誰も通らない。川と反対側にある立体駐車場に何層かにわかれたコンクリートの建造物。最下層の下には砂漠の砂山のように土砂が積みあがっていた。しばらく進むと、地下鉄の電車が停まっているのが見えた。車両基地のようだ。でも、なんだか、その電車は都市が滅んだあと、廃墟の中で永久に来ない出番を待っているように思えた。
頭上を橋がゆく。こういう場面にぶつかると、“Tomb Raders”や“ICO”のようなゲームの感覚で、飛び移る方法を探してしまう。見つけたのは、白いガードレールをまたいで、50cmの高さから飛び降りるというそれなりにアクロバティックな方法。ぐるっと200mちかく戻って橋の入り口にたどりついた。
橋を渡りきると新横浜の街。スタバで休憩。
せっかくなので、地下鉄で横浜の反対側あざみ野までいってみることにした。最初の駅は北新横浜。もとは新横浜北だったが紛らわしいと苦情がよせられ改名したそうだ。次の新羽から高架になる。仲町台。そしてセンター南とセンター北。なんだか安易な駅名だ。中川からはまた地下。そして終点あざみ野。降りるのははじめてだ。
あざみ野駅前の賑わいは今ひとつ。おなかが減ったので食事にすることにした。ふきの塔というスパゲティー屋に入る。サラダとドリンクのスパゲティーのセット。なす、ベーコン、バジリコなどが入ったスパゲティーでなかなかおいしかった。
田園都市線のあざみの駅へ。いつの間にか急行停車駅になっていて驚いた。あざみ野、たまプラーザ、鷺沼と三駅連続停車だ。

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