昨日は徹夜明けだった。そのままシャワーだけ浴びて芝居にいった。その疲れで今日目覚めたのは二時過ぎ。自分が誰なのかしばらくわからなかった。
まずは二日日間貸出期間を超過してしまった本を返しに図書館へ。その本を借りたときの回想…
朝。エレベータから図書館のある階で降りると、蛍光灯の電気はついているのだが、人っ子一人いない完全な静寂に包まれていた。朝の図書館はこんなに静かなのかと驚きながらも、図書館すべてがぼくひとりだけのものになったようで、なんだかうきうきしてきたのだった。ところが、お目当ての本を選んでカウンターに持っていっても、係りの人は誰もこない。奥の小部屋とか自習室とかをのぞいてみたが、ほんとうに誰の姿もみえないのだった。何かの魔法で一瞬にして館内の人が消えうせたようだった。なかなか楽しい状況だったが、そうゆっくりもしていられないので、入口のそばの掲示板を確認すると、単なる休館日だった。本を返して下に下りようとすると、ちょうどエレベータから降りてきたのは、作業着姿の一団。それで電気がついていたのかと納得した。
次の日同じ時間にいってみると、たくさんの人たち。昨日の静寂が夢の中のことのように思えた。回想終わり。
横浜駅へ。横浜駅はデパートなどがたくさんあって横浜の中心という感じがしてしまうが、街として「横浜」と呼ぶことのできる地域の端に位置する。むしろ横浜入口と呼ぶにふさわしい。今日はその「入口」から歩き始める。
ルミネの脇の階段をのぼって東口からスタート。郵政公社に名前が変わる郵便局の前の道をまっすぐ進むと、東急の高島町駅。東横線のみなとみらい21線への乗り入れに伴って、来年の今頃にはもうなくなっているはずだ。
戸部通りという道をゆく。裏手にある紅葉山公園では桜が五分咲きくらいだった。路地に入り込んだ。右手は急峻な崖。崖の上は何だろうと思いをめぐらせたが、ほどなくそれが野毛山動物園であることがわかった。動物園の隣にある野毛山公園に到着。海は見えないが横浜の中心部を一望に見渡せる。港の見えない丘公園という感じだ。公園の中にあった茶色い潅木の茂みが一瞬だけ馬に見えた。
階段を下りると、関東学院の前。校門の前の桜を写真に撮ろうとしている人がいた。
横浜は坂が多い。坂を上ると、外界と隔絶された別世界に来てしまったような感じがする。坂を下ると、あっという間に俗世界に戻る。おりた先は、黄金町のあたり。商店街沿いを南太田の方に向けて歩いてゆく。
蒔田方面へ。古道具屋のような店の前で老人が金属製のパイプのようなものを操作している。テロリストかと思ったが、それは携帯に便利な杖のようで、カタカタ音をさせながら歩き始めたのだった。
すごろく 六○○○円 竹とんぼ 八○○○円 かくれんぼ 一○○○○円
さゝ田という由緒ありそうな料亭の前にあったメニューだ。ちょっとお高いが、どんな料理が出てくるか気になる。
いつの間にか磯子区に入っていた。目の前に大きな鳥居がある。そういえば、今まで歩いてきた道の名前は天神通りというのだ。鳥居をくぐって急な坂を上りきると岡村公園。足が段に乗り切らない階段を一歩一歩ずり落ちると、バス通りだ。上大岡行きのバスに導かれるように上大岡まで歩いた。9.8km。坂が多いので距離の割りに疲れた。
再開発が終わってから上大岡にくるのは初めてだ。京急百貨店にももちろんはじめて入る。
8階のヨドバシカメラはほかと変わらない普通のヨドバシカメラだ。軽く見て、すぐに一つ上の階の本屋へ。「Heaven?」5巻と「20世紀少年」12巻を買う。
さらに一つ上の階のレストラン街でようやく食事。永坂更科で、1370円の天ざるを注文した。ちょうど買ったばかりの「Heaven?」を読んでいたら、金持ちが一人五万円のコース料理を注文するのは、庶民が天ざるを注文するようなものだと書いてあった。そんなぜいたくなものだったのか。心して食べなければ。つゆが甘口と辛口両方出されるので、まず甘口で天ぷらと蕎麦を食べてから、辛口の方を少しずつ蕎麦湯と一緒に飲み干す。これはやはりぜいたくかもしれない。

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