二つの母なる夜

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登戸駅から間違えて小田原方面の電車に乗ってしまった。車窓から見える風景がまったく見慣れないものだったのですぐに気がついたが、どんどん駅を通過していきおりることができない。乗った電車が多摩急行だったのだ。ほかの種別の電車はすべて登戸の隣の向ヶ丘遊園に停車するが、多摩急行だけは5駅先の新百合ヶ丘まで停まらない。

いつもなら、そういうハプニングを大事にして、新百合ヶ丘から歩いてしまうところだが、今日は下北沢で芝居を観る予定があり、あまり離れたくない。それにいつもながら、もうかなり遅い時間だった。反対側のホームの各駅停車で、もともと散歩のスタート地点にするつもりだった成城学園前まで戻った。

成城学園というと北口の並木道を思い浮かべてしまうが、今日は毛色(経路とひっかけている)を変えて南口に出る。線路沿いの道を祖師ヶ谷大蔵方向に進み、つきあたりを右にまがって東宝日曜大工センターの方へ。コーンに入ったアイスクリームを食べている人を何人か見かけて、ぼくも食べたくなったが、店は見当たらなかった。

東宝撮影所のまわりのふたをした側溝の上を歩いて、円谷プロダクションの前に出た。入口のところに等身大(もちろん巨大化前)のウルトラマンのフィギュアがあった。その道をまっすぐいくと祖師ヶ谷大蔵の駅に続く。途中に昆虫ショップがあってヘラクレスオオカブトムシのつがいが700円で売られていた。安いのだろうか。

小田急の線路からつかずはなれずの距離の住宅地の中を、何度となくつきあたりにぶつかってジグザグ行進していった。千歳船橋を過ぎたあたりで、城山通りにぶつかって、あとはまっすぐそれについていった。実はまっすぐという表現はあまり適当でなく、城山通りという名前は鴎友学園を過ぎたところで直角に曲がり、さらにその先でまた直角に曲がった道についてゆく。

世田谷線の宮坂駅のところで豪徳寺に商店街への道にそれる。散歩は豪徳寺までで7.2km。

下北沢に出た。まずは食事。東京キッチンでオリジナル三品定食というのを注文。三品というのは鶏の唐揚と肉を焼いたのと肉を焼いたの。肉を焼いたのが二種類あるのは認識できたが、何がどうちがうのかは、それぞれの量が少ないこともあってよくわからなかった。鮭フレークをつけて780円だった。

さて、今日観る芝居は演劇弁当猫ニャーの「弁償するとき目が光る」だ。チケットを受け取るときこのタイトルを読み上げられて、ちょっと赤面してしまった。時間より少し早めに劇場に入った。

芝居は休憩をはさんで2時間45分。さすがに疲れた。腰が痛いので休憩時間にロビーに出たが、ガス室のようにタバコの煙が充満していた。

芝居の後、ヴィレッジ・ヴァン・ガードへ。もう一度カート・ヴォネガットの『母なる夜』を読もうと思っており、どうせなら今の早川文庫版飛田茂雄訳のではなく白水社版池澤夏樹訳の方を読みたくなったので買った。村上春樹訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を買うのと同じようなことだ。

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