はっきりしない天気が続く。そうすると、天気に左右されるこちらの気持ちもはっきりしなくなってしまうが、そこを無理やりはっきりさせて阿佐ヶ谷に向かったのだった。
なんとか雨はあがっていたが、すごい湿気だ。高架沿いに荻窪方向スターロードという名前のしけた商店街をゆく。しけているのは飲み屋が多いせいで、その道の狭さはなんだか心地いいのだった。
町名の阿佐ヶ谷と天沼の境の道を北上する。天沼は荻窪といってよいので、ほぼ阿佐ヶ谷と荻窪の中間だ。その道が途切れると、筋向いの旧早稲田通りへ。まっすぐゆくと西武新宿線の下井草だ。そのあたりであまりの湿度の高さに相当まいってきて、セブンイレブンに逃げ込んだ。出てきたとき手にしていたのはガムと汗ふき用のシートだったが、それらの効果ではなく、そのときから空気が変わりはじめた。すうっと乾いた気持ちのいい風がどこからか吹くようになってきたのだ。
踏切を渡らずに一駅先の井荻を通り越し、環八の先で右折してようやく踏切を渡る。井草の森公園という公園でベンチに座って休憩。いつの間にか、日がさしていて空気中にきらきら輝く小さな粒子のようなものが浮かんでいた。花粉だろうか。
公園を出てなおも北上。「墓地設置反対」という立て札があちこちに掲げられている。なんでもある寺がもともとマンションだったのをつぶして広大な墓地を作ろうとしているのに近所の住民が反対しているらしい。公営の墓地なら公園としても使えるのでいいが、特定の寺の私有地では、ただ人気のない暗い空間ができてしまうだけなので、反対する気持ちはわからないではない。それにしてもマンションをつぶして墓地というのが、これから先生きている人間は増えないけど死者だけはどんどん増えていくという現実を示唆しているようだ。
十善戒寺という寺の境内に恐竜以上に背が高そうな巨木。威厳すら感じる。
石神井公園到着。池のほとりでちょっとだけ休憩。すぐに立ち上がって池沿いに歩いてゆく。信号を渡って三宝寺池までいって、今日は木橋を渡って池の南側を歩いてみることにした。そのあたりには昔石神井城という豊島氏の城があったそうだ。豊島氏について調べてみたら、平家の流れを汲む家柄で、大田道灌に滅ぼされたらしい。当主は白馬にまたがったまま三宝寺池に沈み、娘もそのあとを追ったという伝説があるそうだ。
池のあるすり鉢の底のようなところから上にあがる。木の隙間から見え隠れする池の水面に空が写り込んで、まるで森の底に空があるように見えた。
富士街道に出て、その名も富士街道というバス停で散歩は終わり。8.3kmだった。吉祥寺行きのバスに乗り込む。お釣りの十円玉がないようで、客が乗ってくるたびにその旨を説明していたが、ぴったりの小銭を持っていない客に対してつり銭の受取口にお金を入れさせていたことは確かだが、どう精算していたのかよくわからなかった。
吉祥寺到着。まずは食事。ロンロンの地下の天はなという天ぷら屋でエビ天丼を注文。1100円でまあまあおいしかった。
パルコブックセンターにいっても目的の本がなかったので、ヴィレッジ・ヴァン・ガードにいくことにした。といっても具体的な場所はわからないので探すことになる。東急裏あたりというおぼろげな情報をもとに、探索開始。何のことはない。まさに「東急裏」のスタバの前にあったのだった。これで東京・横浜のヴィレッジ・ヴァン・ガードはすべて制覇した。
下北沢店ほどではないが、中は少し混んでいた。お目当ての本の一つ、保坂和志の『草の上の朝食』を買った。
もう8時近かったので、ひとまず渋谷に戻ることにした。ブックファーストにいってお目当ての本の残り、東浩紀『郵便的不安たち♯』とベルンハルト・シュリンク『朗読者』を買った。ちくま文庫で『ボルヘスとわたし』という自薦短編集が出ていたのでほしくなったが、1300円だったので、見送った。あまり売れない本なのはわかるけど、文庫で1300円はいくらなんでも高すぎると思う。
タリーズでメープル・シナモン・ラテのソイミルク、大きさグランデを注文したら540円+税だった。こういうタイプの店で500円は心理的な境界だったりする。
何とはじめて渋谷のドンキホーテに入ってヘルスメーターを買った。デジタルのは電池が必要で壊れやすいので、安いアナログのやつにした。たった880円だ。家に帰って乗ってみたら、薄々感じていたことではあったが衝撃の事実判明。これから作戦Dを始動させる。

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