和光市の河童

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まずは床屋へ。ついでに新しくはじめたという足マッサージを頼んでみた。まわりの客たちが鏡の方を向いて髪を刈ってもらう中、ひとり逆方向を向いてかなり大振りな装置に足をいれたりするのは気恥ずかしくもあったが、散歩で足を酷使しているぼくにはかなり気持ちよかった。

和光市に向かう。志木市、朝霞市、新座市との間にあった合併話が実現したら駅名はどうするのだろうと思っていたが、合併が立ち消えになったので、その心配も杞憂で終わった。まあもともとは大和町という名前で市制施行のときに、すでに存在する大和市にできず、町名に含まれる「和」に永遠に発展する願いを込めた「光」を合わせて新しい市名にしたそうなので、別に由緒ある名前ではないのだが。

その駅の構内で、頭の上に爽健美茶のペットボトルをのせた妙なおじさんを見かけた。まだ三分の一くらい中身が残っている。蓋のあるほうを上にしているが、あるいても落ちる気配は毛頭ない。なんらかの手段で固定しているのか、並外れた平衡感覚の持ち主なのか。いずれにせよそんなことをする正当な理由などどこにもなさそうに思えるが、唯一考えられるのが、常に頭の皿に水分を供給しなければならない種族、つまりそのおじさんは河童なのではないかということだが、まわりの反応を見てうれしそうに笑うその顔は、もう完全に人間離れしていた。

去年の6月に歩いた道を通って樹林公園の方へ向かう。あのときは明るい陽光が降り注いでいたが、今日は重苦しい曇り空。ときおり小雨が落ちてくる。スペインかどこかの広場のように見えた団地の中の商店の前の一角もやけにみすぼらしく、その本来の姿をさらしていた。

樹林公園をぬけて税務大学校の周囲をまわり稲荷山のあたりへ。本来は石神井公園経由で吉祥寺を目指していたのだが、いつの間にか光が丘の方を向いていた。光が丘公園についてようやくそのことに気がついて、それでもせめてバスで吉祥寺に出られるところとも思ったが、どんどん雨足が強くなる雨に翻弄されて結局赤塚についてしまった。散歩は営団赤塚まで。8.8km。

久しぶりに池袋に出ることにした。来た電車が新線池袋行きだったので、終点でおりる。まずは食事。東武デパートの11階にある古奈屋でエビカレーうどん。1350円。何度食べてもおいしい。

一時期弱まった雨足がまた強くなっていたが気にせず駅の外に出る。ジュンク堂書店の最上階で写真や美術関係の本を見て回る。高架線の廃線跡からみた風景を撮った写真集、廃墟の風景ばかり集めた写真集など。急に文字よりイメージに囲まれたくなった。だが高くて重くてなかなか手が出ないのだった。結局文字の本、スチュワート・ダイベック『シカゴ育ち』を買った。

雨は本降り。スタバに入って、文字の世界にダイブインする。

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