♪ナーカーガーワーラー

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京王線の中河原。五十音でいえば5音すべてア段からできている。4音ならありふれているが、5音となればそれは何かの祝福を受けてもいいことのように思える。なにしろ声楽の発声練習のときにドミソミドの旋律にのせて「ナーカーガーワーラー」と歌っても全然違和感がない。

駅前では小太りのおじさんが旗をもって、どこか近くの施設への案内をしていた。スイカをかかえていても何の不思議もないラフな服装に夏の匂いを感じたが、季節はまだ梅雨。半開きの唇に最初の雨粒があたって今日も雨と連れ添う。

ひがし通りというそもそも商店のほとんどない商店街を抜けて、分倍河原や府中の市街の方向を目指す。府中本町の駅前にあるイトーヨーカドーと東芝府中工場にあるエレベーター実験棟をランドマークにすれば自分のだいたいの位置が確認できる。

税務署の前から分倍河原の駅の端の踏切を渡る。いわゆる動物園の臭いというのを何十倍も濃縮した臭いが薄汚れた小屋から漂ってきたので中を覗き込むと大型犬が3頭土間になった床に死んだように横たわっていた。ほんとうに死んでいるのかもしれない。まわりに住宅が密集しているのだが、どういうことなのだろう。

今までほぼ北東に進んできたが、京王線の線路にさえぎられたところでコースを変えて北西に進むことにした。谷保駅からさほど離れていない場所で大学通りにぶつかったので、そのまま国立を目指す。というより、気持ちのよさそうな道があったらそれようと気持ちはあったのだが、結局大学通り以上に魅力的な道がなかったのだ。グリーンベルトで車道と隔離されていて静かだし、沿道の建物や施設もおしゃれで、大学通りから離れると後悔しそうな気がしてしまう。

雰囲気がよさそうだったので、駅のそばの CIBONEという雑貨屋に入ってみた。そういえば雑貨屋へは最近ほとんど入っていない。もともと雑貨屋に入る目的など特になかったのだ。そこへ軽く目的らしきものができた時期があり、そしてその目的がなくなると共に雑貨屋に入ることもなくなってしまった。今日ももちろん目的なくはいってみた。

カフェミュージック系のCDがたくさん置いてあったが、ぼくが目をひかれたのはアルミボトルだ。保温、保冷の効果があるので、そこに飲み物を入れておけばしばらくおいしく飲める。いや、ぼくは特にそういうものを必要としていないのだが、クールでシンプルなデザインにひかれたのだ。迷ったが、2500円と値段がちょっと高めだったので、アルミボトルはやめて横にあった同系統のデザインのマグカップを買うことにした。そちらはステンレス製で上にプラスチックの蓋がついている。蓋はまわせるようになっていて、飲み口が出てくるので、蓋を取り外す必要がないのだ。色は緑を選んだ。1200円。といっても、それで何を飲んだらいいかまったく思いつかない。このところ家でアルコール以外のものを味わって飲むことなどないのだ。

吉祥寺に出た。いっても特にどうということはないのだが、ちょっとでもいかないと無性にいきたくなる街だ。食事。おひつ家という定食屋に入った。肉団子と春雨の辛口スープ定食というのを注文。スープとごはんは微妙にあわないものがあるが、そこは肉団子をスープから取り出して独立なおかずとして活用することにより、補った。ここはほんとうにごはんがおいしい。700円。

ヴィレッジ・ヴァンガード、ロフトなどを見て回ってからタリーズで休憩。ブルーベリーソイヨーグルトは甘さ控えめで相当おいしい。

まだ少し早かったので、渋谷でブックファーストに入った。小説類は未読のものがたまっているので買わないと決めていたが、それ以外の『20世紀少年』13巻と『散歩の達人』8月号「神楽坂・小石川・後楽園」特集、『散歩の達人 THE下町情緒』というムックの3冊を購入。

友人に南口の待ち合わせ名所の表示板を読んでみてはといわれたので、今まで全然その存在に気がついていなかったその板の文字に目をこらしてみた。新島モヤイの「モヤイ」とは新島の言葉で「力を合わせる」という意味だそうだ。モアイだとばかり思っていたのが、実はモヤイだったいうことに存在を知ってから十数年してはじめて気がついた。

なんだかバスに乗りたくなったので、大井町行きのバスに乗り込んだ。

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