真夏の時期に暑さらしい暑さがなかったのでいまさら残暑というのも変な気もするが、とにかく暑いものは暑い。
渋谷経由で京王多摩川に向かう。乗り継ぎがとてもスムーズで1時間くらいでついてしまった(明大前の駅であやうく子供と正面衝突しそうになった)。鄙びた駅前から今日は多摩川の下流方向の狛江を目指す。
道なりにゆくと右手に忽然と細い川が現れた。いずれ多摩川の支流だろうが、名前はよくわからない。地図によると飛田給のあたりから地表にあらわれて、京王フローラルガーデンの中を通って、この先で多摩川に合流するようだ。川縁は木陰のプロムナードになっているので、そちらを歩く。川の向こう側から黄色い歓声が聞こえてきたが、川の柵が生垣になっているのでまったく見えない。もう少し進むと市民プールがみえてきた。
日活の撮影所は大きな煙突があって、まるで工場のように見えた。ベルトコンベアに乗せられ、流れ作業でドラマや映画が作られているイメージが浮かんできた。撮影所の角で曲がると、その敷地の橋には同形のこじんまりした二階建て住宅が隙間なく立ち並んでいる。これもセットだといわれたら信じるかもしれない。
込み入った道をぬけて再び広い道にでる。多摩川住宅という広大な団地。団地の中で住所が調布市から狛江市にかわる。多摩川が近いので小さな川が多い。つきあたりがまた川になっている。その沿道で、車からおりて地面を一生懸命探している男女がいた。財布でも落としたのだろうか。
橋を渡って品川通りという道に出た。名前がついている割には特に何もない道だ。退屈だが、交通量がそれほどでもないので、それなりに歩きやすい。「品川」というのは品川区の品川。昔、府中から港のある品川(JR品川駅は高輪にあるので、もっと南の青物横丁とか立会川あたり)まで道がのびていて、品川道とよばれていたそうだ。その名残の道らしい。
狛江市を歩いていると、あちこちに五箇条の市民憲章が書かれた掲示板を見つける。せっかくなので、ここに書き写そう。
- 互いに信じ、助けあい、連帯のあるまちをつくります。
- 自然を大切にし、公害のないまちをつくります。
- 社会のきまりを守り、秩序あるまちをつくります。
- 健康で働くことに喜びをもち、活力あるまちをつくります。
- 教養を高め、文化が芽ばえ育つまちをつくります。
まっすぐいくと小田急の狛江駅に程近いところに出る。そこから喜多見方面に進んでガード下をくぐった。「公孫樹」という喫茶店があり、「こうそんじゅ?」なんて読んでわけわからなかったが、その道にいちょう通りという標識があったので、すぐに疑問が解けた。そのいちょう通りはすぐに世田谷通りに合流する。
世田谷通りをはなれて再び小田急の線路の方へ。喜多見駅のすぐそばに出たが、もうひとがんばりすることにした。だが、もう暑さでへとへとだった。バーミヤン大仏でも作っているような複々線化工事中の小田急の線路の前で、がまんできずオロナミンCを流し込んだ。飲んでも汗になるだけなので、できるだけ量の少ないものを選んだのだ。ガードを超えると成城へとつながる急坂。喜多見に住む庶民にそう易々と成城に来させないために作られたのかもしれない。飲んだ以上の汗を噴出した。
ほうほうの体で成城学園前に到着。7.3km。
急行で一駅の下北沢でおりる。もうぼくは、喉の渇きを満たすためだけにいきている廃人同様になっていた。とりあえずスタバではじめてレモンパッションシェイクンティーというのを飲んでみた。瞬時に飲み干して、それでもあきたらず氷をなめる。
あまり食欲はなかったがそれでも食べないわけにはいかないので、パンコントマテというパスタ屋に入った。パスタとドリンクを頼もうと思ったが、ドリンクの値段と、ドリンクのほかにパンとサラダがつくセットの値段の差が150円しかないのでセットの方を注文。ドリンクは飲み放題でとても助かった。3杯もおかわりした。料理の方は食欲がないので無理やり流し込む感じになってしまった。パスタとあわせて合計1550円。
三省堂とか、ヴィレッジ・ヴァンガードとかにいくが、お目当ての本がないので、渋谷に出てブックファーストへ。吉村昭の『虹の翼』という本をめくってみて、それが高校時代読まずに読書感想文をでっちあげた本にまずまちがいないことを確認。まだしばらく『陰摩羅鬼の瑕』にかかりそうなので、今日は買わなかった。そのまま本屋の中でうろうろしてたら調子が悪くなってきたので、帰ることにした。

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