海が見たくなったので横浜に向かう。空は雨模様、アスファルトは水を吸い込んで黒く変色していて、まったく週末のたびに天気がくずれていやになるな、と心の中で毒づいていたら、関内の駅から降りるときにはかすかに薄日がさしていた。雨上がり特有の幸福感。
横浜公園をつっきって日本大通りへ。並木のイチョウの葉がひらひらと落ちながら薄日をあびて金色に光っていた。街並がエキゾチックでこれぞ横浜という感じの通りだった。
山下公園到着。海、海、海だ。柵のすぐ下は人工の浅瀬になっていて水深は数十センチくらいしかないのだが、その水は思ったより澄んでいた。すぐそばで女性がもってきたパンくずのようなものを海に向けてまいたら、カモメの大群が近づいてきて、エサを求めて乱舞をはじめた。人はよけて飛んでくれるからいいものの、もし透明人間がいたら、体当たりをくらって大変だろうと思った。透明人間も楽じゃない。
そばにいたおじさんが、「あそこに虹が見える」というようなことをいってくれたので、西の空、まだまだ厚く残る雲のスクリーンにうっすらと投影された虹の断片を見ることができた。見ている間にどんどん薄くなっていって、ついには消えてしまった。
人だかりができていたので隙間から覗いてみると大道芸だった。若い白人男性二人がパフォーマーで、染之助・染太郎のようにひとりが進行、もうひとりがパフォーマンスと完全に分業していた。進行役の日本語は完璧。どこで勉強したのだろう。パフォーマンスの内容は、要するにお手玉だ。ぼくが通りかかったときがちょうどクライマックスだったようで、スイッチの入ったチェーンソーと火のついた金属製の松明それに鉄球でお手玉をしようとしていた。パフォーマーの人は場をもりあげるためにしきりに観客に拍手を要求していたが、なかなかもりあがらない。自分も含めてほんとうに日本人らしいなと思ってしまう。
元町よりの端の高台に登ると、歩道橋につながっていて、港の見える丘公園のそばまで車道におりずにいくことができる。そのことを知ってはいたが、今日はじめて歩いてみた。横浜人形の家からフランス橋という名前のついた橋を渡ってフランス山のふもとにたどりつく。坂をのぼれば港の見える丘公園だ。
港の見える丘公園ではバラが見ごろらしく、幾株も花が開いていた。花もきれいだが、ぼくなんかは刺身でいうとつまにあたる、霜のように表面が点々と白く彩られている葉の方に興味をひかれた。
山をおりて今来た道を戻るように歩く。ただし、山下公園の中ではなく、裏道をゆく。元貨物線が通っていた遊歩道を通って赤レンガ倉庫へ。ワールドポーターズのところで馬車道に入って関内駅の方に戻る。
駅の手前のタリーズで休憩。隣はココアを注文しておきながら苦くて飲めないと砂糖をいれる男性二人組。
散歩再開。信号の前で歩き出したとたん、また雨がぱらついてきた。野毛方面へ向かう。WINSの前では誰かを出迎えるためにたっている従業員たち。ギャンブルはきらいだが、高齢者の雇用には役立っていることは認めざるを得ない。
戸部、平沼あたりをぐるりと迂回して横浜駅まで。9.7kmだった。
食事をするためにシャルの6階へ。リニューアルしたとか書いてあったが、店はほとんどそのままで、照明を暗めにしただけのように見えた。迷った末に更科一休という蕎麦屋に入る。田舎セットとかいうものを注文。食券なのだが、財布を出してみたら空であせる。幸いカードが使えてことなきを得たが。田舎セットというのは、蕎麦、うどん、かやくごはん、野菜の天ぷら、けんちん汁、あえもの、おひたしがついた豪勢なセット。肉気がまったくないのでヘルシーでもある。税込み1200円。
雨の横浜をさらにうろうろ。収穫はとくになし。

コメントする