ブレーメン

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元住吉の駅前の商店街はなぜかブレーメン通りという名前だ。音楽隊はぼくのベルトの脇のiPodの中にいた。気まぐれでイヤフォンを付属のものから、別の探し物をしていたら偶然出てきたソニーの耳の中に挿入するタイプのやつに変えてみたのだが、色は白でぴったりなものの、音が、プライバシー保護のため音声は変えてあります的な力ないものになってしまい、少し後悔しながら音楽隊についていった。というより音楽隊はぼくのゆくところどこにでもついてくる。

ブレーメン通りはにぎやかで気持ちのいい商店街だ。ちょうど正面にぽっかりと小高い森のようなものが浮かび上がっているのもいい。森と書いたけど実は城のように見えたのだ。

橋をわたったところに市民の森という里山をそのまま保存したような一角があって、多分城のような森の正体はこれではないかと思うのだが(地図でみるとブレーメン通りの方向からずれているのでちがうかもしれない)、兵どもが夢の跡とつぶやけば城跡に見えないこともない。

なだらかにゆったりと孤を描きながら登ってゆく坂。ちょうどいいくらいの負荷を足に与えてくれて、テンポが上がってきた。登りきったところには井田病院。そこを過ぎると道がどんどん狭くなってきた。家もまばらになってきて、隙間からパノラマの風景が見える。灰色の雲に覆われた空のはじ、ぎざぎざの地平線のあたりだけが、壊れたテレビのようにピンク色に染まっていた。すきまなく広がった街。ああ!、おお!と驚くことを覚えたばかりの天使のように感嘆符をつけてみる。

日吉公園という公園の中に入る。単なる児童公園かと思っていたら、下り坂の斜面にへばりつくように続いていて、下界にたどり着くまで車の通らない静かな道をゆくことができた。

てっきり北の田園都市線方向を目指しているものだとばかり思っていたら、住所が木月になっていて驚いた。歩きはじめた元住吉あたりの地名だ。どうやらぐるりと一周してしまったらしい。日が沈んで風が本格的に冷たくなってきたので、もうあまり冒険心は残っていない。ぶらぶら歩いているうちに江川せせらぎ遊歩道の入口を見つけたので、とにかくついていってみることにした。木製のデッキの上を歩くのは気持ちよかったが、もう寒くて暗くて、どうでもよくなっていた。まっすぐ遊歩道の中を進んで南武線の武蔵新城まで。7.1kmだった。武蔵新城の駅のまわりは思ったよりにぎわっていて、高架の線路やそれと垂直にのびる商店街、駅前のロータリーが杉並の中央線の駅前を思わせた。

登戸に出て小田急で新宿に向かう。買いたいものがあったのだ。まずはそのうちの一つ『未来世紀ブラジル』のDVDをビックカメラで買ってから食事。なんか気分がさえないので、ここは今まで食べたことがないものでも食べようと、小田急デパートのレストラン街にのぼるが、どこも高いか並ぶか、あるいはその両方だったので、すぐに引き返して、結局新宿ねぎしでカルビ焼ミックスを食べた。目新しくはないがやはりおいしい。1290円。

ヨドバシで、もうひとつの買いたいものである、PanasonicのデジカメFZ-1のバージョンアップキットを買う。シャッター速度優先、絞り優先などの指定をマニュアルで設定できるようになり、画質も少し向上するようだ。つまり今度発売された FZ-2 相当の機能が搭載されることになる。ほとんどデジカメを使っていないのでなんだが、これで少しは使うようになるだろうという期待をこめて買ってみた。

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