長い幕間

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今日の主役は雨だとばかり思い込んでいたが、いつのまにか窓の外で通奏低音のように鳴り響いていた雨音がなりをひそめ、カーテンを淡い陽射しが染めていた。どうやら雨の幕が一時的に閉じて幕間にはいったらしい。その間にやるべきこと―散歩をやってしまわなくてはならない。荷物をかきあつめて外に飛び出した。

こういうときは近いところから歩きはじめて、時間を有効に活用するのが分別ある大人のとるべき行動だが、久しぶりに東京23区を抜け出すという誘惑に抗しきれず三鷹に向かってしまった。

幸い、三鷹についても雨はまだ眠りについていた。南口のコンコースのちょっと不気味なのっぽの三人組にあいさつして地上におりる。おりたのはメインストリートからひとつずれた道。新奇性をもとめてのことだが、実はこの前歩いた道だ。すぐ右折して、方向としてはほぼ一貫して西を目指す。

聖徳学園から武蔵境駅前のイトーヨーカドーを望み、東小金井の駅前。農工大から南下して、水気をふくんだ色とりどりの落ち葉を踏みしめながら階段をおりると、武蔵野公園。紅葉真っ盛りで、赤く染まった葉の下の影まで赤みを帯びていた。

暖色系に染まった森を抜けて、公園の外へ。ふつうの民家が立ち並ぶ中にハトの小屋があって、木枯らしに木々がさざめくような羽音を響かせていた。すっかり暮れて、行く手に浮かび上がる国分寺の街の灯りをたよりに進んでいった。国分寺まで10.2km。なんとか幕間は続いてくれた。

吉祥寺に出て、食事。定食屋おはちで、天ぷら定食。ひじきをつけて830円だった。あなご、めごちと魚が2つと、野菜はピーマン、サツマイモ、ナス。油がくどくなくさっぱりしておいしかった。

外に出たら雨がぽつぽつと頭にあたった。ようやくお目覚めのようだ。パルコブックセンターで堀江敏幸『郊外へ』を買ってからスタバへ。久々にカフェモカが飲みたくなったのだが、タリーズは甘い飲み物が甘すぎるような気がする。隣に座った若い男女二人連れはアートファンのようで、美術館の話をしている。近代美術館がどこにあるかわからないとか、現代美術館は場所はいきづらいけど美術館としてはとてもいいとか、展覧会の開催期間が長いのはいいけど、まだいいやと思っていると行こうとしたときには終わっているとか、思わずうなずきたくなる話題だ。

新代田からのバスの中、夢の中で再開した雨のモノローグをきく。

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