桜上水の駅前ではもう街灯がちらほらと淡い光を投げかけていた。まだまわりも明るくて、「照らす」という役割は果たしていない。そうやって自分自身のために光っているときの街灯が一番美しい。
昔から、街灯にはなぜか心惹かれるものがあって、そのクールな光の中では昼の光の中では起きないようなシュールなできごとが起こるような気がしていた。それが具体的にどういうことか説明することはできないけど、「月に憑かれる」代わりに「街灯に憑かれる」というようなことがあってもいいと思うのだ。
街灯の点灯時間には通りごとに時間差があるのか、駅前から伸びる水道道路ではついていても一本ずれた裏通りではついていなかったりする。誰かがスイッチをいれているのか、明るさに応じて自動で点るのか。
南の小田急線方面に向かうつもりが、いつの間にか180度回転して、再び京王線の線路に近づいていた。八幡山の駅の近くだ。松沢病院の構内は落ち葉が野放図に積もって、誰もいなくなった避暑地のようにみえる。環八を渡って、緑道、団地をぬけると千歳烏山の街の灯り。暗くなるにつれて街灯は存在感をなくしてゆく。
祖師ヶ谷大蔵あたりをめざしていたのだが、いつの間にか調布市に入っていた。今日二度目の「いつの間にか」だ。成城へ通じる見覚えのある道に出たので、ついてゆく。今日は下北沢で7時から芝居を観る予定なので、食事することを考えて、できれば5時半くらいには散歩を終えたかったのだが、歩いても歩いても時間が過ぎるばかりで、なかなか街に近づく気配がない。気があせって早足で歩く。
どうにかこうにか6時ジャストに成城学園前に到着。8.7kmだったが、距離以上に疲れた。
下北沢に出て急いで食事。路地裏で見つけた天手毬という担々麺の専門店に飛び込んだ。太肉担々麺という大振りの豚の角煮入りの食券を購入。税込み950円。ここはどんぶりが小さく、量が少し控えめのような気がする。その代わりサービスでライスがつくので、ボリュームとしてはちょうどいいくらいだ。さすが専門店らしく担々麺はおいしかった、スープまで含めて完食。
劇場はすぐそこ。まだ時間があったので、寄り道してから向かった。
先週と違って、濃縮された舞台。ずいぶん時間がたったような気がするのに、劇場から出たのはまだ8時40分だった。時間が早いのでスタバで、芝居のチラシをめくる。ちょっと至福のとき。

コメントする