『郊外へ』という本を読んでいたら郊外にいってみたくなった。緑豊かで情緒ある武蔵野の方ではなく、中心からとりのこされた周辺という雰囲気を漂わせる荒川東岸の江戸川区、葛飾区、足立区あたりだ。「いきたくなった」ではなく「いってみたくなった」と書いたのは、心底いきたいわけではなく、むしろあまり気は進まないのだが、たまには気分を変えてこういうのもいいかもしれない、という複雑な意味合いを含んでいる。あのあたりを「下町」と呼んでしまうのは、物事をあやまった方向からみていることになってしまうので、ここは正しく「郊外」と呼ぼうと思う。
「郊外」の中ではうちから比較的近い、東西線の西葛西から歩きはじめる。とりたててフォトジェニックなものが見当たらない街並みでなかなかデジカメのシャッターを切るきっかけがない。調子が出ないまま、北へ北へ。
南椿橋という橋で新中川を渡り、さらに北へ。千葉街道から、小岩駅に向かうフラワーロードという商店街に入った。商店街を歩いている間は距離を感じず、いくらでも歩けそうな気がした。小岩駅到着。9.7km。
総武線で御茶ノ水に出て、駿河台をくだって神保町へ。過去ログをたどるとこの前神保町を訪れたのが7月1日だから、半年近く来ていなかったことになる。いつの間にか三省堂本店の信号をはさんで向かい側に、自遊時間という1フロアだけのスペースができていて、カレンダー、文具、雑誌、新刊書が置かれているほか、カフェが併設されている。あまりぼくには用はなさそうなので、とりあえず食事をすることにした。
すぐそばにできていたラーメン屋「味噌や」に入る。味噌ラーメンが名物らしい。味噌オロチョンラーメンという辛そうなのを注文したら、あとからこの前新宿で蒙古ラーメンを食べて汗が噴出した記憶が蘇ってきて、ちょっと不安になったが、食べてみたらほどよい辛さで一安心。ネギがたっぷり入って、おいしかった。税込み700円。
スタバでペパーミントモカというのを飲んでから、三省堂本店で、今年おそらく最後に読み終わることになる本を選ぶためにうろうろした。結局、思いついたのはそこにはない本で、蒲田にもどってから買ったのだった。アントニオ・タブッキ『レクイエム』。無駄に費やしてしまった今年一年を悼むために…。

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