武蔵境という駅名のもととなった「境」という地名の由来にはいくつか説があるらしいが、有力なのは、江戸時代にこのあたりを開墾した人の姓が「境本」で、そこから「境」の一字をとったというものだ。○○と××の境だから武蔵境だとばかり思っていたが、その説はありはするもののマイナーらしい。今日はその武蔵境からスタート。
寒いが、風がない分、昨日に比べれば楽だ。歩き始めてすぐにちょっとばかり写真心をくすぐられるものがあったのだが、カメラを取り出すふんぎりがつかず結局通り過ぎてしまった。
北東方向を目指すつもりだったが、境浄水場という大きな障害物があるのは地図を見てわかっていたので、とりあえずは北口の商店街から武蔵境通りと、北にまっすぐ進んでおく。五日市街道にぶつかったところでようやく東にバイアスをかけた。塀の上が鉄条網で覆われている広大な敷地。武蔵野女子大らしい。先ごろ名前が武蔵野大学に変わって4月からは共学になるそうなので、そうすると『四月物語』で松たか子が通っている大学名と同じだ。あの映画をみてこの学校を選ぶ人が出てこないとはいえない。
西武新宿線の踏切を渡って西武柳沢駅前の商店街へ。北に向かうバス通りがあったので、そちらを選ぶ。保谷郵便局のところでバスの経路に沿う形で保谷駅に通じるまっすぐな道に入った。途中、西東京市の保谷庁舎があって、成人式を終えた若い連中がたむろっていた。今日は振袖姿の女性をたくさん見かけるので、正月の延長戦のような気分になる。
保谷駅到着。6.5kmだった。バスに乗って吉祥寺を目指すことにする。料金が一律でなく、行先に応じて、近ければ170円だが、終点の吉祥寺までは230円かかる。そういうシステムだと、つい田舎という感じがしてしまう。正直に申告してバスカードから230円さしひかれた。
今歩いた経路を戻るようにバスは進む。エアコンのききが悪くて、底冷えがした。
道が混んでいてちょっと時間がかかったが、吉祥寺到着。トイレを借りにパルコに入ったついでに、本屋で伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』を買った。
年末に開いたばかりの、ヴィレッジヴァンガードダイナー吉祥寺店にいってみる。井の頭通りを三鷹方向にちょっと歩いたところだ。階段をあがってドアを開けると、中はすいていて、広いテーブルでもいいですよと、4人がけの席に案内された。またまた名前を忘れてしまったが740円のハンバーガーとスープを注文しようとしたら、今日はポテトとオニオンがきれていて代わりにスープがつくといわれたので、スープはキャンセル。ドリンクはメープルティーを注文した。ちょうどオフタイムから書入れ時に変わる境目の時間だったようで、ハンバーガーを待つ間に次から次へと客が入ってくる。4人がけの席をひとりで占有しているぼくはだんだん肩身が狭くなってきた。
ここのハンバーガーはおいしいのだが、食べにくいのが玉に瑕だ。二つの縁が閉じられた袋状の紙に包んで食べるのだが、不器用なぼくは底にたまった汁気をコートの袖口にじわじわとこぼしていた。店内が暗いのでしばらく気がつかなかったのだ。気づいてあわててナプキンでふきとったが、においは消えない。そのにおいをおかずにごはんが食べられそうだった。
席が空くのを待っている人まで出てきたので、食べ終えるやいなや、そそくさと席をたつ。
新代田からバスに乗ったら、運転手が女性、しかもかなり美人で、ちょっとうれしくなった。いつの間にやら窓の外は雨になっていた。袖からハンバーガーのにおいがするよりは、雨のにおいがした方がいい。

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