昨日の雪はまるで夢の中のできごとのようにあとかたもない。
今週より勤務先が川崎から別の場所に移転するので、今日はお別れを告げにいくことにする。と書くとなにやら感傷的だが、別に川崎が好きな街というわけではなく、むしろどちらかといえば嫌いな部類に属するので(会社があるということが嫌いになった理由の一つだが)、お別れごっこといった方が適切かもしれない。なにしろ家からはいこうと思えばすぐいける距離なのだ。
ごっこはごっこなりにとりあえずいつもの通勤経路を歩いてみる。ああ、もうこの道を歩くこともないだろう…なんて。会社の入っていたビルを過ぎて、ようやく散歩気分になる。裏手には市の福祉センターがあって、そのまわりにホームレス施設建設反対の貼り紙がはられていた。確かに、背後にドヤ街をかかえていて、ホームレス予備軍が大量にいる地域だった。ここなら作ってもいいだろうと思わせてしまう場所なのだ。
横須賀線と南武線にはさまれた細長い地域を北上してゆく。住所が横浜市鶴見区に変わるが、川崎のイメージをより濃縮したような雰囲気が支配している。尻手、矢向とすぎて、また川崎に入った。新築のマンションが多い。空き地にも次々とマンションが建てられている。空気の流れの悪いこの地域も上に伸びることによって変わってゆくのだろう。
鹿島田駅から新川崎の方に向かう。階段をあがるとそこが新川崎の駅だった。操車場をまたぐ橋を渡り、三菱自動車の広大な工場の縁を通って、さらにまっすぐ進むと、今度は川をまたぐ橋があり、それを渡ると、横浜市港北区に入る。ちょうど太陽が沈むところで、西の空がナトリウムを燃やしたときようなきれいなオレンジ色に輝いていた。
慶応大学理工学部の脇を通って綱島街道に出る。日吉駅はもうすぐそこ、8kmちょうどだった。
日吉の駅前では地下鉄工事をしていて、あとで調べてみたら、日吉から港北ニュータウンを経由して横浜線の中山まで伸びる市営地下鉄4号線という路線らしい。計画があるのはなんとなく知っていたが、工事が進んでいるとは驚いた。
いつもなら自由が丘あたりまで出てしまうのだが、今日は日吉でどれだけ用が足りるか実験してみることにした。日吉東急の本館3階はベスト電器が入っていて、家電やPC関連の製品は一通り安価にそろうようだ。
そのまま3階の紅虎餃子房で食事。中国タクシー飯と焼棒餃子を注文した。タクシー飯というのは、忙しいタクシーの運転手が時間と手間がかかからずに食べられるところから名づけられたものだということをこの間どこかで聞きかじったが、実物をみるのははじめてだった。簡単にいってしまうと、中華丼。あんに唐辛子がはいっていることと、具がやたら大きくて豪快というイメージを出そうとしているところがちがう。かなり量も多く、餃子とあわせて食べたら、今日はじめての食事とはいえ、おなかがいっぱいになってしまった。合計1280円。
2階には無印良品が入っている。安かったのでマフラーとシャツを買った。そのまま駅前の商店街の中にあるスタバへ。
というわけで、実験は成功した。

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