機種変更を「機種変」と縮めたところで、たった一文字しか短くなっておらず、あまり得した気はしないのだが、とにかくその機種変というやつをすることにした。今使っている機種は、あえて、カメラなしで飽きのこないデザインの一世代前の機種を、わざわざあちこち探し回った末に手に入れたものなのだが、不思議と、携帯にはカメラが必須であるような気がしたり、飽きがこないのは最初から飽きているせいじゃないかと思ったりして、あっという間に機種変への欲望が湧きあがってきた。人は自分の持っているもののことはよくわからないけど、持っていないものに対しては驚くほど鋭敏なのだ。
どこのキャリアでもそうだが、ぼくの加入しているauにも購入後一定期間のしばりがあって、それを過ぎないと、機種変の価格がかなり割高になる。それが切れたのは去年の11月で、それ以降携帯方面のアンテナを高くあげて情報収集につとめてきたのだけど、一番強く刺激された機種京セラのA5502Kが、発表だけされてなかなか発売されないため、ずっと待ち状態になってきたのだった。それが今日2月7日、ようやく店頭に並ぶというので、新宿に直行したのだった。
まずヨドバシをみたが、二色あるうちお目当ての方のエターナルブラック(要は「黒」だ)が新規のみになっていたので、ビックカメラに向かう。そこではじめて実機にさわってみたが、予想通りかなり大きく、ずしりと重い。これまでの機種が超軽量だったのでなおさら強くそれを感じた。だが、黒とシルバーだけで色気がないと思っていたのは、杞憂であることがわかった。デザインはなかなか洗練されている。ううん、と迷う振りをしたが、もうここまできたら引き返せないのはわかっていた。ただ、ひとつ問題は、今月から機種変の期間の考え方が変わって、13ヶ月以上とそれ未満で価格に大きな差が出ていて、ぼくはちょうどその線上付近にいる身の上で、正確にどちら側なのかわからなかったのだ。店員にきいたら、すぐ調べられるとのこと。その結果にすべてをゆだねる。13ヶ月以上なら買う、未満なら買わない。
結果は買うと出た。24800円だ。ナビウォークができて、100万画素のカメラがついてこの価格なら安いものだろう。渡せるのは1時間先だというので、その時間を利用して散歩することにする。
丸の内線の新中野に出て、そこから歩きはじめる。青梅街道を高円寺方向に進んで、すぐ南の小道に折れた。中野富士見町の駅近くから営団の車庫の前を通って多聞小学校の方へ。何度も歩いた道だ。住所が中野区南台、杉並区方南、南台、渋谷区笹塚、南台とめまぐるしく変わる。中野区と渋谷区の境は単なる区境ではなく、車のナンバープレートが練馬から品川に変わる境でもある。笹塚から南に下ればすぐ下北沢なのだが、いったん新宿に戻らなければならないので、東にそびえる高層ビル群を目指す。
新宿中央公園をぬけて、スタバで休憩。もう携帯の用意はとっくにできている時間だ。スタバを出てビックカメラに直行し、ブツを受け取る。やはりずしりと重い。ビックカメラの前で、「ビッグイシュー」日本版を売っているところをはじめて目撃した。ホームレスの自立を目的としていて、雑誌を売ることにより彼らに歩合が入るしくみだそうだ。
まだ芝居まで時間があったので、一駅分だけ散歩を続行し、小田急の南新宿駅まで。8.1kmだった。
下北沢に出て、食事。いつもより、範囲を広げて探していたら、カウボーイというウェスタン風のステーキハウスを見つけた。店員のお姉さんも厨房の人もみな帽子をかぶってカウボーイスタイルだ。値段がとにかく安い。ハンバーグセットが600円だというので、それを頼んでみたが、サラダにライス、食後のコーヒーまでついてきた。味もなかなか。料理ができあがるのがやたら早いので、回転率をあげることによって価格をさげているのだろう。
芝居がはじまるのが8時という変則的な時間なので、まだ余裕があり、あちこち歩きまわる。ヴィレッジ・ヴァンガードでポール・オースター『孤独の発明』を買った。
劇場。開演前のひととき。後ろの席に座った人が、トイレにたちながら牡蠣にあたってつらいとこぼしていた。

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