寛容の街

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肌寒いが薄日がさしこんでいる。聖蹟桜ヶ丘から歩き始める。

車道から脇道に入ったら小野神社という大きな社があった。あとで調べてみたら多摩川の対岸の府中にも同名の神社があって、どちらが本家か争っているらしい。その先の空き地はリトルリーグの練習場になっていて、通り抜けようとしたら、向こう側は高さ1mくらいの金網でふさがれていた。無理をすれば越すこともできたかもしれないが、けがをしてはばからしいので引き返す。

府中四谷橋で多摩川を渡る。南武線谷保駅近くの谷保天満宮では、昔の貴人が着たような優雅な色調の羽毛をまとったニワトリたちが放し飼いにされている。ハンドルのところに茶色のつがいのフクロウをとまらせた自転車が通り過ぎる。

国立に続く大学通り。桜が咲いていたことが嘘のよう。この通りの魅力は並木や家並だけでなく、通行する人の姿によって形作られているような気がする。挙動不審に民家の門扉の文様を眺めている女性。怪しい中年男が、つれている犬についてあれこれ語るのを鷹揚にきいている主婦。服装もさまざまだ。そういうすべてをひとつの言葉にすれば「寛容」になるのではないか。なんだかちょっとだけほっとしたのだった。国立駅で散歩は終わり。7.6km。

吉祥寺。和幸でヒレロース盛り合わせ定食1187円。キャベツとみそ汁をおかわりした。そのあとタリーズ。

渋谷に出る。啓文堂書店で恥ずかしい表紙の『新現実Vol3』と『散歩の達人』を買う。やましいことは何もないのだが、つい表紙を隠して渡してしまう。

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