荒川や多摩川だと源流をたどろうとすると「旅」というふうになってしまいそうだけど、鶴見川なら散歩の延長でいくことができる。鶴見川は夏になるといやなにおいが立ち上る汚い川だったけど、生まれ育った場所のすぐ近くを流れていて、それなりに思い出深くもあるのだ。子供の頃に源流の場所を調べて、それが町田市にあるとわかった。子供心に町田ははるか遠くの土地だった。でも、いつかはいってみようと思ったのだった。長い年月がたって、ようやくその目論見を達成するときがやってきた。
町田市とはいっても、駅でいうと八王子市の京王相模原線南大沢が最寄り駅だ。誰かがこの駅をディズニーランドといっていたけど、確かにその通り。見事なくらい生活感が欠如していて、作り物めいている。もっともそれは南大沢に限ったことではなく、東京の郊外で最近街作りをしたところはみんなそうだ。
源流だけにかなり奥まった場所にあるので、道順をちゃんと調べておいた。ランドマークはセブンイレブンとミニストップ。両方ともちゃんと思った場所に見つかる。立体交差の道路の下をくぐって緩いカーブを描く坂をおりると、突然山道の風情になる。空き地には汚れた乗用車が廃棄され、錠で閉ざされたひん曲がった門扉の向こうにはただただ雑草が生い茂っている。山肌にいくつも穴がうがたれているのは、昔防空壕として使われたのだろうか。今はゴミ捨て場と化している。
そうこうしているうちに源流の泉に到着。下流のよどんだ水の色が嘘のように澄んだ水面の中央から波紋がひろがってゆく。あれが泉だろうか。水面にはアメンボ、その上にはトンボ。何の変哲もないが静かな場所だった。
目的を果たしてあとはおまけの散歩。唐木田方面に向かう細い道に入り込んだ。雑木林と田畑にはさまれた道だ。あちこちにゴミ捨て禁止の看板がたっているが、つまりそれはここが不法投棄にもってこいの場所であることを示していて、車やテレビさまざまなものが決してこない土に帰る時を待っている。
人気のない山道を抜け出して、一瞬街にでたが、今度はからきだの道という遊歩道の中に入る。府中カントリークラブと住宅地の間の山林を整備したものだ。木々が鬱蒼としていてアップダウンが激しく、それなりにハイキング気分が楽しめる。日没以降は立入禁止と書いてあったが、街灯もないので夜歩くのはかなり危険だ。もう夕暮れはすぐそこまで迫っていた。どういうわけか、木の間からみえるのは立体駐車場ばかりで、自分が同じところをぐるぐるまわっているような錯覚に襲われる。
へとへとになりながらもからきだ道を踏破して、川沿いに多摩センターまで歩く。8.4kmだった。
渋谷に出た。井の頭線西口改札前のカレー屋に入ってみようと思っていたのだが、今日は休業。ねぎしに入る。どういうわけか、このところ渋谷では道玄坂の半径30mくらいの範囲で食事をしている。鶏グリル定食という新メニューを試す。コショウがきいてなかなかおいしい。777円。
ブックファーストを冷やかしてから、タリーズでマロンラテというのを飲んでみた。甘さが疲れをいやす。

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