穏やかな風が無駄な力を奪ってゆく。それにつられて頭の中の思いのかけらがシャボン玉のようにふわふわと浮かび上がり、行く手を邪魔しなくなる。歩くことがとにかく気持ちいい。
三鷹南口の商店街は大好きだが、今日は毛色を変えてちょっと車が多い三鷹通りをゆく。芸術文化センター、山中通り。
目の前に塀が立ちはだかり、広大な敷地の中は草木が生い茂っている。「国立」と書いてあったので一瞬「くにたち」まで歩いてしまったかと驚いたが、国立天文台の裏手だった。星を観測するには都市の光が届かないくらいの広大な暗闇が必要なのだろう。
塀ぞいに進んでいたら、行く手の西の空に、熟れすぎた果物のようにぶよぶよに膨れあがった太陽が今しも沈むところだった。目を閉じると緑色の太陽がやきついている。記憶と残像どちらが後まで残っていられるか競争だ。その先は崖になっていて眼下の街を一望できる。こんな場所があるなんて全然知らなかった。
崖上から望んだ一筋の川の流れを渡って、大沢コミュニティーセンター、中央高速をくぐり武蔵境通り。ちょっと迂回して調布駅を目指そうと、裏道に入ったが、思いの外遠ざかってしまって、結局京王多摩川までいくことにした。夜の訪れと共に到着。10.1kmだった。
競輪開催日のようで、ある種の男たちがいっしょに電車に乗り込んでくる。酒とタバコのにおい、動物的な容貌、工事現場にかけるシートのような服装センス。いや、それは一種の階級的偏見だ。
下北沢。札幌発祥のスープカレーの心という店にはいる。場所は北口の一番街だ。だいたいの位置は把握していたもののすぐに見つからなかった。シーフードスープカレーを注文。辛さ(数字)とライスの量を選ぶことができる。辛さは中辛といわれた3にしてみたが、少し物足りなかった。もう少し辛くてもいい。シーフードはイカ、ムール貝、ホタテ、エビなど。エビが殻つきなのが玉に瑕。ヒゲが口蓋にささって少し痛い思いをした。1150円。
スタバでコーヒーを飲んでから、バスに乗るため環七目指して歩く。ちょうどいい時間につけずに、いくつかバス停をやり過ごして、若林駅前までいってしまった。
帰ったらブッシュ勝利確実との報。穏やかないい気分が一遍で吹き飛ぶ。世界はまだまだ寝苦しい熱帯夜が続く。

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