あと一ページで小説を読み終わるというところで吉祥寺についた。それはあとのお楽しみにとっておく。
半ば定期的に訪れている吉祥寺ではあるが、井の頭公園は久しぶり。ところどころ木々が色づいてきていた。コーディネートしたように空も淡いオレンジに染まる。もう夕暮れだ。パフォーマーやショップキーパーの人たちも気ぜわしそうだ。何で屋さん(往来の人の質問に答える商売)は、なぜ何で屋という活動をしているかを解説している。公園のはじの方で何で屋の看板娘というセーラー服を着た女性が絵はがきのようなものを売っていた。
井の頭線の線路沿いを歩いていたら右手に緑道がみえたので入りこんでみる。適度にまがりくねりながら住宅地の中をぬけてゆき、東京緑道ランキングを作ったら上位にくいこみそうな道だった。緑道が尽きたところに玉川上水。大きな白い犬が排便をしている。なぜその後、足で地面をひっかくようにするのだろう。
目論見では都心方向に進むはずが、いつの間にか西へ。明星学園、にぎやかな中央通り経由で三鷹駅に到着。さすがに歩き足りないので、北口に出てすっかり暗くなった街をさまよう。まるで日曜日のように、街の雰囲気がどこかせわしない。結局吉祥寺に戻った。6.9kmだった。
あちこち行く割にはつい決まった店(ほとんどチェーン店)に入ってしまう。その場所ならではの個人経営の店は独自のしきたりがありそうで、なんとなく二の足を踏んでしまうのだ。今日はその因習を打破すべく、散歩で疲れた脚をさらに鞭打つ。結局ラーメン屋の二階という奥まった場所にあるリトルスパイスというカレー屋に入った。店の壁に、エビの脳以下といわれる今世界でもっとも人気者の某氏を呪うためのブードゥー人形のポスターが貼ってあったりしてとてもファンキーだ。この店で売っているのだろうか。エビとキノコのアジアンカレーと、甘いヨーグルトの中に刻んだ野菜をいれたサラダを注文。カレーは挽肉の入ったキーマで辛さもほどほど。サラダの方は、むしろデザート感覚だったが、カレーとよくあう。やはり、この店にもしきたりはあって、食べた後の食器をカウンターの上の台にあげることだった。それぐらいは簡単。あわせて1323円を支払って外に出る。
タリーズで読みかけの小説を読み終えてから、パルコブックセンターで仲正昌樹『お金に「正しさ」はあるのか』、野矢茂樹『哲学の謎』、グレッグ・イーガン『宇宙消失』を買う。
ローソンを探して、芝居のチケットを引き換えたら、財布が空になった。財布が空という事象はなぜかぼくの中で日曜日と結びついている。今日が日曜日のような気がしてしかたない。
バスに乗るため新代田で井の頭線をおりたのだが、おり際、学生時代の知り合いに似た人を見かけた。それなりに年月を重ねているようだったが、あのまま年をとったらこうなるだろうというイメージそのままだった。もちろんその人かどうかはわからないが。

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