六日連続で勤務先のそばの海辺にいってみた。曇っていて風が少し冷たかったが、その割には人の姿を多くみかけた。ショートパンツと黒いタイツ姿の女性がポーズをとり、傍らでアシスタントの男性が反射板をもって向きを調整している。そのほか数名はカメラを構えている。つまり撮影会だ。おたくっぽい男性の中にひとり車椅子の男性が混じっていて、穏やかな笑顔を浮かべていた。
JRの線路伝いに工事が着々と進む汐留に向けて歩く。コンコースの上から鈍く輝く高層ビルを仰いでいると、まるで未来にいるようだ。未来というのはまだ来ない時間の流れの先にあるものではなく、いままさにこの瞬間のことをいうのだと思う。新橋に着くといきなり現在、つまりいまこの瞬間よりはるか以前に作られたものばかりの世界にもどる。
第一ホテルの前でビニール製の巨大なサンタクロースがはちきれんばかりに膨れあがっている。もう街は早くもクリスマスなのだった。
日比谷公園へ。公会堂の前では行列。公園の中では全国各地の物産展のようなことをやっていて露店がたくさん出ている。こちらも盛況だった。同じ千代田区という縁からかイギリス大使館のテントもあったが、大使館とあまり関係なさそうな日本人の女性たちがユニオンジャックのエプロンをつけて座っているだけだった。
ちょっと前に読んだ小説『パーク・ライフ』では、主人公の男性は噴水広場にいて、そこから心字池の向こう側の崖上のベンチに座っている女性の姿を見つける。その視線を確認してみようと思った。ちょっと木が邪魔しているが、手に持っているスタバのカップくらいはわかりそうだった。そのときは崖上にはおじさんたちの姿しかなかったが。視線は崖上から池の表面の白鷺におりる。細い首をS字型に曲げて抜き足差し足で獲物の小魚に近づいて、一気に嘴をつっこむ。その姿は正面からみると一本の線にしか見えない。しばらく見とれていた。
有楽町、銀座を通り抜けて、聖路加タワーへ。無料の展望室があるので、久しぶりにのぞいてみることにした。エレベータで一気に46階まであがる。展望室はさらにその1階上にあり、階段でのぼるようになっている。スーパーリアルな地図。まだ夜景とまではいかないが、夕暮れの街の風景が広がる。真下を流れる隅田川から、向こう岸の月島、晴海、台場、建設中の橋、きらきら光る観覧車、ジェットコースターのレールのような延伸工事中のゆりかもめ。目を再び足下に転じると、犬を連れた人がエサを運ぶ蟻のように見える。川の緑とテラスの赤いアスファルトのとりあわせがまるで抽象画のようだ。
下界に降りると光度が1000ルクスくらいさがっているように感じる。これまではおあつらえむきの観光コースだったが、延長戦は地味だが落ち着いた夜の下町。鉄砲洲から亀島川、日本橋川を渡って水天宮前まで。9.6kmだった。
半蔵門線で一気に渋谷まで出てしまう。最近カレーばかり食べているが、今日もボゥワンという井の頭線西口近くのカレー屋に入った。以前から目をつけていたのだが、日曜祝日が定休日なので、うまく機会が訪れなかったのだ。チキンカレー(780円)とミニサラダを注文。カレーはふつうにおいしかったが、サラダが最高だった。100円で量は少ないのだが、生ハムやオニオンフライなど本格的な具が入っていて、このところ高値が続くレタスも惜しげなく使われている。フルサイズのサラダも300円なので、こんど注文してみよう。
ほかの目的でタワーレコードに入ったのだが、突然ベートーベンのピアノ協奏曲が懐かしくなってきた。3番と4番が聴きたい。価格がそれほど変わらなかったしついでに5番の「皇帝」もききたいので、1~5番の3枚組のセットを買うことにした。ピアノはエマール、アルノンクール指揮ヨーロッパ室内オーケストラ。3番はたいしたことないがやはり4番がすばらしかった。
酒屋の河内屋でポートワインを買ってみた。シェリーと同じくフォーティファイドされたワインで、スペインのシェリーのポルトガル版といったところだろうか。白を買ったのだが、味は甘口のシェリーに似ていた。今度赤も飲んでみよう。
タリーズへ。カプチーノのミルクはもう少し濃厚なほうが好きだ。

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