短い逢瀬

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ここに明記していないが、大森はよく通っている街だ。井の頭線方面から帰るときに乗るバスの終点が大森なので、バス停から山王口までの数十メートルは脳裏に深く刻み込まれている。バス停の前の中華料理屋、向かい側のふらんす亭の前で配っていたドリンク割引券、シュークリームの甘い匂い。だが、どうしても一日の終わりというイメージと結びついてしまうので、なかなかそこから歩きはじめようという気分にならない。

今日はその裏をついて大森へ。駅前の階段をのぼると別世界のような山王の高級住宅街。このあたりの雰囲気は大好きなのだが、残念なことにどちらの方向に進んでもあっという間に終わってしまう。もの寂しさの漂う街を歩いているとどこかほかの場所にワープしたいと痛切に思えてくる。中延から荏原中延までのびるアーケードの商店街はとてもよかったが(このあたりはさんざん歩き尽くしているはずがはじめてだった)、その先もまた似たような街並が続く。中原街道を通って五反田。さらにがんばって、関東病院から白金台まで。8.3kmだった。

四ッ谷経由で新宿三丁目に出る。改札と三越は直結だ。4~6階がロフト、7、8階がジュンク堂書店になっているというのでのぞいてみた。といってもほとんどの時間をジュンク堂で費やしたが。新宿で最大の書店というだけあって広い。7階が文芸書と文庫、新書など、8階が専門書と洋書などだ。ご祝儀に大塚英志『物語消滅論―キャラクター化する「私」、イデオロギー化する「物語」』と難波江和英/内田樹『現代思想のパフォーマンス』を買う。

おなかがへったので靖国通りのねぎしにいってみたが満員。西口に出てしまうことにした。比較的穴場のねぎしで、和風シチュー豚うま辛焼きミックスを注文。シチューに入っていた牛タンが分厚くていい。1438円。おつりに樋口一葉の5000円札をもらった。ピンクがかっていて乙女チックな雰囲気を感じる。

青梅街道沿いのスタバにいったが閉店間際だった。あわただしくて落ち着かない。

冬に備えて薬局でうがい薬とビタミン剤を買うときに、やむを得ずさっきもらった5000円札を渡す。短いつきあいだった。さよなら。

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