冬の西瓜

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長い夢をみていたのでもう一日が終わったような気分で目が覚めた。ぼくの夢は何人かの人たちとの再会と和解がテーマになることが多いのだが、なぜだか居心地の悪さや幻滅に似た気分を味わってしまう。そんな気分が冷めやらぬうちに、西永福から歩き始める。

何年か前に入った、父と息子が留守番のようにしてやっていた駅前のだめだめな食堂は、ドアがちょうどゴキブリの隙間分開いていて、つぶれてしまったようだ。わけもわからず歩いているうちにいつの間にか隣の永福町の駅に着いている。駅前の大勝軒というラーメン屋の募集広告にはなぜだか身長170cmまでという制限が入っていて、妙な想像力をかきたてる。

和泉、堀ノ内の住宅地を抜けて環七にぶつかり、青梅街道から、高円寺の商店街に入る。まっすぐ進めば高円寺の駅だったが、思惑があって、緑道に入り、阿佐ヶ谷を目指す。

予定通り阿佐ヶ谷到着。7kmだった。

思惑というのは北口、中杉通り沿いにある西瓜糖というカフェ。国立のロジーナ茶房に続いて中央線カフェめぐりだ。丸い突起がついた黒いタイル張りの床、傷だらけのステンレス製のテーブル、くすんだ色の壁には無造作に写真が飾られている。ロジーナ茶房とちがってとても落ち着いた雰囲気だ。店主の人もとても物静かで(もともと常連だったが縁あって以前の店主から引き継いだらしい)、むしろ古本屋に似つかわしい。例によってチーズケーキのセットを頼んだのが、心なしかチーズケーキも汁気が少なくぽそっとしているが甘みがほろほろとにじみ出すおいしさがあった。この店でいいのは美術手帖のバックナンバーが自由に読めるところだ。文学を語る文芸批評は余計なお世話的な感じがぬぐえないが、美術を語る言葉は、もともと言葉を拒否しようとしているものを言葉にからめとろうとする、あやういところがとてもすきだったりする。またこよう。

バスに乗って渋谷へ。今日までBunkamuraで開催されているポップアート展にぎりぎり間に合った。アンディー・ウォーホールに代表されるようなポップアートは実をいうと好みではないのだが、タダ券があったのでみようと思ったのだ。アートとは何かという、アートの垣根をこわすような根本的な問いかけのうち、逆説的に(あるいはユーモアとして)商業主義的なモチーフを取り入れる方向に向かったのがポップアートだと思うけど、よくも悪くも商業主義にすっぽり取り囲まれてしまった現在、その逆説は逆説になりえないし、ユーモアもあまり笑えないような気がしていた。だが、今回はポップアートというよりちょっと広めの作品が集められていて、アメリカ以外のポップアートの影響を受けたアーティストたちの作品にはかなりおもしろいものがあったような気がする。

遅くなった食事。東急ハンズの前のサムラートというカレー屋に入る。店員はみんなインド人だ(と思うが、ポークがないのをみるとイスラム系かもしれない)。チキンの挽肉カレーセット。720円。ナンかご飯か選べるのだが、ついご飯にしてしまった。ナンの方が常道という気もするが、皿に二盛りされたご飯も悪くなかった。

ブックファーストで、さきほどの西瓜糖の店名のもとになったリチャード・ブローティガン『西瓜糖の日々』、それに永井均『これがニーチェだ』、ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を買う。今年中にこの中のどれか一冊でも読み切れるだろうか。

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アンテナに登録させて戴きました。
一応ご報告。

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