東京の南の方に住んでいるので、散歩のコースは北向きの経路をとることが多い。今日はいつもと向きを変えて、井の頭線の久我山から南を目指す。久我山は工事中で、今までは他の多くの京王電鉄の駅と同じく地下に改札があったのだが、新たにホームをまたぐ橋上の駅舎を作ろうとしている。
ひとまず岩通通りをゆく。冬に南向きに歩くことには大きな利点があって、北風の直撃をうけずにすむ。寒い日ではあったがそれほど苦にならなかった。年明け早々仕事で怒濤の日々が続いたので、一歩一歩に癒しを感じていたせいもあるかもしれない。散歩と恋愛には似たところがあって、逆境であればあるほど燃えるのだ。
南へ進むと決めたものの、玉川上水を越えた先で左折したあとは、ほぼ東に進んでいた。あとで地図をみてわかった。
歩きながらときどき数秒ほど目を閉じて、薄いまぶたごしに太陽の暖かさを感じてみる。障害物にぶつかるのも危ないし、人に見られれば危ない人だと思われる。二重の意味で危ないというスリルがたまらない。
中央道の下を二度くぐった先にすぎまるのバス停を発見した。すぎまるといえば、阿佐ヶ谷と浜田山の間を走っているとばかり思っていたが、浜田山と下高井戸の間にもあたらしい路線ができたらしい。バス通り沿いに進むと、塚山公園。寒いせいか人気があまりない。池の水が凍りついたように空をうつしている。神田川を渡って町名が浜田山になった。いつの間にか北向きに進んでいたのだ。道理で寒いはずだ。
また中央道の下をくぐって、世田谷線の松原まで。8.6kmだった。
久々の世田谷線。せたまる回数券というIC式のプリぺードカードを久々に活用して、隣の山下まで。駅前のファミリーマートで芝居のチケットを確保する。
小田急の豪徳寺から劇場がある下北沢に出る。まずは腹ごしらえで、パスタママというパスタ屋へ。渋谷にも店があるのだが、若者が多いという場所柄からかここはそちらより価格を抑えているそうだ。だが、その割には駅前にもかかわらずいつもすいているような気もする。パスタ以外のサイドメニューの種類が少ないのがよくないのかもしれない。それはそれとして、生ハムスパゲティを注文。990円だった。パスタだけではやはりちょっとさみしい。
まだまだ芝居まで時間があったので、スタバで時間をつぶした。隣のカップルの会話の空白が長くて、ちょっと心配になった。三省堂で、小田中直樹『歴史学ってなんだ?』を買う。
芝居が終わって、渋谷に出た。河内屋で、南アフリカ産のルビーポート系のフォーティファイドワインを買う。
電車の中で彼女に抱きついている若い男がいると思ったら、それは大きな楽器ケースだった。

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