寒気団の団長のスピーチはいつまでたっても終わらない。おまけにそれを歓迎するかのように小雪が舞っている。
新宿の映画館テアトル新宿へ。市川準監督の『トニー滝谷』をみるのだ。原作は村上春樹の同名の短編だ。19時からみようと思っていて、受付だけするために寄ったのだが、ちょうど15時からの回に間に合いそうだったので、みてしまうことにする。
原作が忠実に映画化されている。イッセー尾形ではちょっと年齢がいきすぎている気もしたが、父親との二役など彼にしかできない演技をしていた。宮沢りえはやはり美しい。テーマはやはり孤独だろうか。ほんとうの孤独というのは、本人にも孤独だということがわからないことなのかもしれない。それにしてもぼくは、夫婦の妻の方が死んでしまう映画が好きなようだ。
外に出たらやわらかな光がまだ残っていた。せっかくなので歩くことにする。まわりの喧噪がうそのような緑道に入り込む。茶髪の中年女性の乗る車椅子を押す茶髪の若い男。母親というより昔世話になった人という感じだった。手袋をどこかに置いてきたことに気がつく。どうせユニクロで買った安物だ。戻るのはやめて足を前に踏み出す。
文化センター、戸山公園。山手線の外側に出て、中央線の高架沿いを進む。早稲田通りに出てひたすら直進。なんの創意工夫もなくただ惰性で歩いているだけだ。
中野にきたときにはよくはいるラーメン屋喜神のメニューが変わっていた。バラエティーが減る方向だ。以前はとんこつスープのラーメンがあったのだが、塩としょうゆだけになっていた。残念だ。限定メニューのような肉ぶっかけバリめん(950円)というのを注文。肉じゃがの汁のような甘口のスープの中に麺と、肉、タマネギがまさにぶっかけという感じで入っている。確かにおいしいのだが、上品な味ではない。
散歩(といっていいなら)は中野駅まで。7.3kmだった。
東京駅にでる。丸善本店に入るが、やはりこの本屋は購買意欲をそそってくれない。なんだか寒さが体の中全体にしみこんで、何をする気もなくなってしまった。残された希望は眠りだけだ。

コメントする