鶴見駅西口から歩いて5分くらいのところに曹洞宗の総持寺という名刹がある。ぼくらは本山と呼んでいて、それが固有名詞であるとばかり思っていた。その本山に足を踏み入れた記憶は曖昧模糊としている。幼いぼくがおかしな服をきて石段に座っている写真があった。だから間違いなく立ち入ったことはあるのだが、今やその写真も失われた。
高い並木にはさまれた石畳の道が山門へといざなう。広大な空間と荘厳な伽藍に取り囲まれるが、記憶は何の反応も示さない。
「裕ちゃんの墓」という案内板をところどころで目にする。ここには石原裕次郎の墓があるのだ。別に彼に思い入れはないが、出口を探しがてら矢印にしたがってみた。その先にあったのは大きくて親しみやすい彼のキャラクターそのままの墓所であり、昔の関係者らしき喪服をきた数名が、ちょうど立ち去ろうとするところだった。あるいは単にほかの法事の帰りに立ち寄っただけかもしれない。
どうにか出口がみつかって、外に出る。総持寺の中もいいが、住宅街のまがりくねった尾根道もいい。第二京浜を渡って太陽のあとをつけてゆく。数少ない市立高校の東高校前を通って、好きなバス路線の41系統の経路に合流する。横浜線に沿った道は現在拡幅工事中。大田神奈川線といって、多摩川のガス橋まで続く道路らしい。
菊名にたどりつく。横浜線と東横線の接続駅で、東横の特急停車駅だが、街の規模は小さい。坂をのぼって高台の道を歩いていくと篠原八幡神社にぶつかった。その向こうの階段から眼下の新横浜の街を望む。視線がたどったとおりに足を進ませて、新横浜到着。9kmだった。
アスティのつばめグリルでつばめ風ハンブルグステーキを食べる。昨日がハンバーガーだったのをすっかり忘れていたが、まあいい。鉄板を包んだアルミホイルをナイフとフォークで突き破ると中からよく焼けた肉のにおいが漂ってくる。ガーリックトーストをつけたが、大きなポテトがまるごとついてくるので、いらなかったような気がする。1480円。
スタバでのどを潤してから、横浜に出てみた。特に目的もなしに歩いていたら、左足の一歩を踏み出したときに突然地面がなくなった。ふわっと身体が宙に浮いて、そのあと地面にたたきつけられた。つまりは転んでしまったのだ。右膝を痛打してすりむいてしまった。それは回復可能だが、買ったばかりのiPod mini についてしまった疵はもうもとには戻らない。何をやっているんだろう。

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