風の強い日。
このところの鶴見散歩で最後に残された聖域、三ツ池公園を目指す。三ツ池公園は広大ではあるが、入口が奥まったところにあるので、ちゃんとそこを目指していかなければいけないのだ。
起伏が多いバス通り。「昭和坂」という坂名を示す標識があったが異字体(「昭」の「刀」の部分が「ク」になっている)で書かれているため、最初正しく認識したあと、あれっと思い直し、最後にひらがなをみて納得がいった。
鶴見高校の脇の道をゆくと舞い立つほこりのせいで空気が靄がかっていて、公園がすぐそこなのがわかる。かつて遠足で歩いたときえらく遠く感じたが、今歩いても決して近くはない。鶴見駅から30分くらいかかったと思う。
園内は花見客でごったがえしていた。桜色の花びらが風に舞っている。凡庸だけど、桜は散っている姿こそが美しいと思う。池の面が桜色に染まっていた。
桜もいいけど新緑もいい。ベンチに座ってぽかんと上を見上げていると、黄緑色の若々しい葉が何層にも折り重なって、一番上ははるか彼方にあるように見える。そこからひらひらと時間をかけて葉が落ちてくる。
公園を出て末吉橋をわたると、街並がとたんにうすら寂しくなってきた。大河のような新鶴見操車場跡地を跨線橋で越えると、矢向駅前のにぎやかな商店街に続く。そこから桜の植えられた緑道に入る。それにしてもどこもかしこも桜が多すぎるような気がする。
多摩川近辺まで出てから、川崎まで歩いた。10.8km。
DICE 6階のTINUNというタイ料理屋で、鶏挽肉のバジル炒めのせご飯という、ご飯の上に目玉焼きが乗っていて、ナシゴレンのようなものを食べた。量は少なめだが、ちょうどいいくらいの辛さで、かなりいい線をいっていた。900円。
下にあるあおい書店は川崎随一の床面積、品揃えの本屋だ。都心と比べてもひけをとらない。浅田彰『逃走論』とウィリアム・サローヤン『ディア・ベイビー』を買う。サローヤンのほうは今やなかなか見つけられない本だと思う。
モアーズの1階がゲームセンターになっていて驚くが、どうにか2階に残っていたスタバに入る。ヨドバシカメラで携帯を機種交換する誘惑にかられるが、あと一歩のところで踏みとどまる。もう少し考えよう。
外に出ると、空はもう完全に暗くなっていて、ビニール袋や紙切れ(宝くじのはずれ券かその類のもの)が、ビルの何階もの高さに舞い上がっていた。おどけた春の精霊のダンスだ。

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