サザエさんのいない町

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田園都市線の東京都の区間、つまり旧新玉川線で一番忘れがちな駅といえば桜新町だ。サザエさんの町とかいわれるけど、桜新町はやはりアニメのサザエさんの町の風景とはちがう。裏寂れてはいないけどハイソでもない中途半端な住宅地風景だ。

水道が下を通っているまっすぐな道の先に水道塔がそびえていた。ここにもあったとは初めて気がついた。イスラムのモスクのように見える。中野の哲学堂のそばと板橋の大谷口、あとほかにどこにあっただろう。

北へ。世田谷通り、世田谷線、小田急の梅ヶ丘を越えたところで、都心方面に折れる。環七を越える陸橋を渡りにぎわう下北沢へ。

下北沢はあっさりやりすごして、東北沢、そして代々木上原。目の前にそびえるのは今度はほんとうのモスク。東京ジャーミーだ。脇のきらびやかなドアの前で女の子二人が写真をとっている。ゴスロリまでいかないがモノトーンの衣装で決めている。単なるスナップではなく、プロかもしれない。そんな二人を厳しい顔で見つめながら、スカーフで頭を覆い眼鏡をかけた中年女性が通り過ぎる。見た目は日本人だが、イスラム教の信者なのだろう。

上原仲通りから駒場方面へ。駒場東大駅前の蕎麦屋満留賀で食事。本格的な蕎麦屋かと思ったが、食券を買う大衆食堂タイプの店だった。鴨せいろは830円。値段も安い。出てきた蕎麦はかなり量が多い。気取った蕎麦屋のせいろ二枚分くらいはあると思う。そうめんのように細い細い麺。だがちゃんと蕎麦然としていて、こしもあるのだ。

あとから60がらみの作務衣の男性と40くらいのワイシャツの男性が入ってきて、やっこをつまみに酒をのみはじめる。どういう関係かわからなかったが、作務衣のほうはワイシャツの職場のことを知っていることは知っているという程度で、あちこちの支店のメンバーが親睦か研修かで集まった帰りという感じだった。昔話として、ワイシャツの昔の同僚がレイプ事件を起こしてつかまったという話をしていた。ふだんはごくふつうの人だったそうだ。

駒場アゴラ劇場で散歩は終わり。9.2kmだった。少し早めについてしまったが今日はここで芝居をみることになっている。

1時間45分後、渋谷まで歩く。

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