
このところ足が北に向きやすいのは足に磁石が仕込まれているせいではないと思う。
埼京線の赤羽から二駅先浮間舟渡から歩き始める。駅前は浮間公園という都立公園。今日は一瞥だけくれて、荒川と新河岸川にはさまれた細長い島のような街の真ん中を西に向けて進む。
やがて両側を工場にはさまれる。左手の新日鐵の巨大な建屋は全体的に赤茶けていて、歴史のようなものを感じる。最近できたばかりで、わざと古びた味を出そうとしているのかもしれないが。
下水処理場で遮られたので、新河岸川を渡って高島平方面へ。新高島平駅を通過してしばらく歩いたところで、青いTシャツに白髪頭の年齢不詳の男に声をかけられた。「すいませんが、タバコ一本もらえませんか」。なんか表情に乏しくてふつうでない感じだった。タバコは持っていないと断ると、道路の反対側に渡っていった。ミントキャンディーといえばあげたのに。
首都高の下の高島大門という交差点を渡ると今日初めての坂。芝は「だいもん」、吉原は「おおもん」だが、板橋も「だいもん」だ。坂をあがりきってまたおりていると竹の子公園という小さな公園があったので休憩することにした。竹林の隅にベンチと水道をおいて公園にしてみましたという感じだ。昼なお暗いせいか人の姿はほとんど見えない。竹とバンブーの違いが説明板に書いてあって、はじめて竹とバンブーが違うものだということを知ったのだった。てっきり竹を英語でバンブー、なんて考えていた。
暗くじめじめした階段にはダンゴムシが一段に一匹ずつくらいいた。小さなダンゴムシも一緒の家族連れもいる。ダンゴムシの分譲マンションのようだ。たぶん日当たりが悪い方が人気あるのだろう。
住宅地の道をまっすぐいくと成増に到着。7.2kmだった。
値段の安い地下鉄で池袋に出る。久々に西武百貨店のレストランにゆく。なんだかイタリアンがやたらに多くて目移りしたが、奥のパストラペという店に入り、マスタードチキンとハーブの冷製パスタというのを注文。パスタがそうめんみたいに細くて驚く。ちゃんとこしもあるからさらに驚いた。1134円。
ジュンク堂で、『タイム・マシン』の続編とされるスティーヴン・バクスター『タイムシップ(上・下)』と、武田泰淳『目まいのする散歩』を買う。
突然強い眠気がおそってきて、電車の中で意識を失っていた。

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