
雨が降っている。
仕事は半ドンだが、その代償としての早起きのせいで、目をしばたたかせながら、渋谷のBunkamuraに向かう。タダ券を使ってレオナール・フィニ展をみるのだ。
昔フリーダ・カーロ展のときにおまけのように展示されていて、フリーダ・カーロの作品よりもよほど気に入った。そのときはメルヘンチックという印象だったのだけど、今回、こうして代表的な作品が一堂に会すのをみて、エロチックで激しいエネルギーのようなものを感じた。実際1907年に生まれて1996年に亡くなるまで奔放な生涯を送った女性だったようだ。
印象に残った作品をいくつか紹介する。『ヘルメス』は、間抜け面の中年のおじさんが上半身裸で派手な髪飾りとレイをつけて指に鳥をとまらせている。『移りゆく日々I』はローマ風呂のような壮麗な建物の中。ただし前面の浴槽の部分は水が抜き取られ、様々なゴミのようなものが放置されている。『移りゆく日々II』はIと同じ場所だが左右のアーチの部分が崩落しているが、風呂はたくさんの女性たちでにぎわっている。IとIIどちらが過去でどちらが未来なのかよくわからない。『庭での眠り』は濃い緑の中に赤がちりばめられて一見抽象画のように見えるのだが、よく見ると何人もの子供たちが目を閉じて横たわっているのが浮かび上がる。激しさと静けさが混じり合った不思議な絵だ。
雨はあがっていた。
スタバで休憩してたら、隣に座る学生らしき男女二人の会話が耳に飛び込んできた。カップルというわけではないようだ。男は今就職活動中。その中でまわった会社の影響で、すっかり自己啓発系にはまってしまったらしい。数年後自分がどうなりたいかを思い描いて、それを実現するために必要なことを優先度をつけて実行している。漫画もテレビもみないで、ビジネス関係の本を読んだり、ネットで調査をしたりしている。学生の交流会に参加したら自分のまわりの数十人も学生が集まってきた。そのとき話せなかった学生から後日ぜひあなたと話が聞きたいと電話があった。あなたの話を聞けば人生が変わるかもしれないといわれ、七夕に会うことにした……そうだ。
ぶっちゃければ自慢話なのだが、確かに説得力のある話し方で、女性のほうも「すごい」を連発していた。「人生これ寄り道」が座右の銘のぼくとは対照的だ。まあ、がんばってくれたまえ。
タワーレコードで、ポイント2倍セールをやっていたので、Jean-Yves Thibaudetの『ドビュッシー前奏曲他』のCDを買ってしまう。
おひつ家で食事。ジンギスカン定食730円。あとで調べたら半年前にも同じものを同じ店で食べていて、肉が少なくてタマネギが多いという同じ感想をもったようだ。ほかのメニューにすればよかった。
とてつもなく眠くなってきたので、バスの中で眠る。目をあけたら大井町だった。

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