Here, There and Everywhere

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横浜ヘリポート

京浜東北線・根岸線の電車の中で隣に座った若い女性二人は珍しくプロ野球ファン。しかも、マニアックなことに、広島カープのご贔屓で津田や福士など往年の選手の話をしていた。実は若くないのかもしれない。

ほんとうは12日から四連休なのだが、仕事がどうにも手を離れず、12日は出勤、今日も今日とて、深夜から睡眠をはさんで午後3時くらいまで仕事を片付けていて、頭が朦朧としてきたし、気分転換をかねて散歩に繰り出したのだった。

新杉田からシーサイドラインに乗る。初体験だ。パスネットは使えないので、一応の目的地である市大医学部まで280円の切符を買った。自動運転だ。わかってはいても、最前列の席に誰もいないのに電車が動いている状態は、かすかな不安を呼び起こすものだ。

急カーブが続く高架線路を短い5両編成の電車はすべるように進んでいき、やがて市大病院に到着する。スーツ姿の若い女性と多くすれちがうが、職員の採用試験か何かだろうか。

シーサイドラインなので海はすぐそこだ。右手に八景島が見えるが、今日は海に沿って左手に進む。いるのは釣り人ばかりだ。胸くらいの高さの防波堤の向こうに海が見えるが、すぐに飽きた。なんか視界のはじで何かうごめいているなと思ったら、フナムシだった。大小さまざまな大きさのフナムシが防波堤をものすごい速度でよじ登っていく。分をわきまえているというか、釣り人のまわりは避けてその間をねらって集まっているようだ。しかもこちら側の土の部分にはほとんど見あたらなくて、石質のものに深い愛着を感じているようだった。1匹、2匹ならどうということないがあれだけ大量だと、さすがに背中に冷たいものを感じる。

行く手をフェンスにはばまれていったん海辺を離れる。横浜ヘリポートなんていう建物があって、ホバリングするヘリの音が近くに聞こえる。

再び海辺。こちらの釣り人はパワーアップして家族連れになっていた。祭りかと思うほどの人の列をかいくぐって進んだが、その分フナムシの姿はまったく見えない。その代わりに干からびたヒトデの死骸。海からにおうのは磯のにおいだけでなく、人間が持ち込んだ食べ物、タバコ、釣エサ、さまざまなにおいが入り交じっている。そんなにおいに辟易として、もう海辺を離れたくなった。

ちょっと人の姿がまばらになったと思ったら、フナムシがまた走り回っている。今度は、防波堤だけでなく、足元の土の部分もいた。なぜか、ビートルズの"Here, There and Everywhere"のメロディーが頭に鳴り響く。フナムシが気色悪いのはスピードが速いので、今どこにいるかというのが確率的にしかわからないからではないだろうか。ここかもしれないし、あそこかもしれない、そしていたるところすべてかもしれない。

ようやく海辺を離れるが殺風景な工場地帯だ。シーサイドラインの線路をくぐって山側に向かう。ようやく街並が住宅地になってきた。京急富岡で散歩は終わり。6.2kmだった。[地図]

横浜に向かう電車の中からみた空はにわかにかき曇り、大粒の雨が落ちてきていた。ラッキーだ。食事はそごう10階のレストランで食べようかと思ったが、一人では入りにくいハイソな店が多くて、はじかれるように隣のスカイビルにきていた。銀座木挽町カレーというカレースタンドがあったので、食券を買う。トリプルカレーという三色のルーがかかったやつだ。ふつうのカレー色の欧風カレーと、赤い辛口カレー、褐色なのはドミグラスソースのせいでかなり甘めだ。サラダと味噌汁、ドリンクがついてきて850円。ひどくのどがかわいていたので水をがぶ飲みしたのがよくなくて、おなかにたまり、食欲がなくなってしまった。どうにか食べきる。

そごうの無印良品で衣類を買っていたら、ちょっとした捕物騒ぎ。若い男がものすごい速度でフロアを駆け抜けていき、そのあとを別の若い男がおいかける。万引きかと思ったが、そうではなく、客同士のトラブルらしい。逃げている男は追いかけてくる男につかまりたくないだけで、警備員にはおとなしく連れられていった。

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